不登校児童と、発達相談支援センターや放課後等デイサービスの関わりについて質問しました【議会】

2019年(令和元年)第4回定例会
12月18日 健康福祉委員会が開催されました。
付託議案審査後に、所管事務に関する発言の時間があり、
私も発言をいたしました。

以下は、私の質問と答弁の要旨です。
正式な会議録は、2ヶ月以上後に仙台市議会ホームページに掲載されます。
どうぞ、ご了承ください。

南部アーチルを取材・視察しました
2019年12月10日に南部アーチルを取材・視察しました。業務全般の説明を受け、施設見学もいたしました。

いのまた由美
(はじめに)
不登校児童の保護者からお困りごとの相談やご意見をお伺いしている中で、皆さんからもれなく学校からアーチルへの相談を進められて相談しているという現状を伺っていますので、アーチルに関連して質問させていただきます。

(参考)
仙台市発達相談支援センター(アーチル)
子どもから大人まで,仙台市にお住まいの発達障害のある方とご家族が,地域で生活していくための相談支援を行うセンターです。
アーチルは、このようないろいろな暮らしにくさについて、共に考えていくことができる場所として、あらゆる発達障害児者と家族への相談・支援、関係機関・施設への支援だけでなく、本人・家族と支援者とのネットワークづくりや関係機関との連携による支援体制の推進、普及啓発活動を行っています。
アーチルでは発達障害者支援法の対象以外の発達障害のある方も対象としています。
また、児童相談所の障害相談部門と知的障害者更生相談所、発達障害者支援センターの機能をあわせ持ち、療育手帳の判定や障害児施設の利用の決定等も行っています。

北部アーチル
青葉区・宮城野区・泉区にお住いの方
南部アーチル
若林区・太白区にお住いの方
.
.
.

①アーチルの学齢相談について

いのまた由美

アーチルでの発達相談件数は、南北あわせて年間1万人以上で増加傾向にあります。新規相談の待機は2-3ヶ月ある場合が多いと聞き及んでいます。
アーチルでは相談者を「乳幼児」「学齢児」「成人」とわけてカウントされていますが、そのうち、学齢児の相談は小学生・中学生・高校生など18歳未満のお子さんで、「子どもの発達」にお悩みの方ということであります。「学齢児」新規相談の傾向と支援状況を伺います。

北部アーチル所長

学齢児の新規相談件数ですが、昨年度は南北アーチルをあわせて528件でございました。ご相談の内容としては、「学習不振」「集団になじめない」などの状況から「発達障害ではないか?」とのご相談が多くを占めております。相談に際しては児童本人、保護者、学校それぞれから学校での過ごし方、学校の支援状況などを確認し、心理検査などにより児童の特性を見極めながら、支援の進め方について一緒に考えております。

②アーチルでの不登校児支援について

いのまた由美

「仙台市不登校対策検討委員会報告書」によると、不登校児童生徒の特性として発達障害の診断ありが13%、疑いが13%、不明は18%、発達障害ではないという回答が56%でした。 アーチルとしては相談者のうち、不登校や不登校傾向がある方の割合や人数はカウントされているのでしょうか。そして不登校のケースに特化した支援はなされていますか、伺います。

北部アーチル所長

アーチルへのご相談の中には不登校のケースもありますが、数の集計は特におこなっておらず、データがございません。しかし相談担当者の感覚でもここ数年、不登校の児童生徒の相談は増えてきていると感じているとのことです。不登校に特化した支援というわけではございませんが、必要な場合には、児童の特性に合わせての個別の支援として、家庭訪問などを通じて長期的に関係を構築していくなどの対応も行っているところです。

いのまた由美

不登校になった子どもと保護者は毎朝、毎日、不安を抱えながら、この先のどのように子どもに安心できる場所や学ぶ環境を整えていけるのかと、不安だったという声を聞いています。迷子のようになっている状態で、アーチルで相談をされています。
アーチルでは、学齢児でも成人でも、「その方が所属先で過ごしやすくなるための相談」をされていると伺っています。例えば不登校児と保護者には、学校への連絡票をお渡しして、学校での過ごし方について提案はしていただけるそうです。ここからは教育局の所管になりますので、この委員会では質問できませんが、学校ではその提案を受けても対応できない現状があり、適応指導教室も定員をオーバーしていて入れない状況もあります。不登校児と保護者には、安心できる場所、たとえ学校にいけなくても、社会的自立や学びの場が必要です。

③アーチルでの放課後等デイサービス事業所の情報提供について

いのまた由美

アーチルで相談している不登校児が居場所としての「放課後等デイサービス」に繋がり、利用しているということをお聞きしました。「放課後等デイサービス」事業所は数多くある中から自分でさがす制度になっていて、利用先を決めるまで時間がかかるものと思われます。アーチルでは 「放課後等デイサービス」 について相談者にどの程度の情報提供をしていますか。

北部アーチル所長

放課後等デイサービス事業所の数は増加しており、定員の関係で新たな受け入れをしていないところもありますので、まずは身近な地域の事業所に電話をし、見学をして、相性を見極めていくようお話しております。また、各事業所がどのような分野に力を入れているか等、それぞれの特徴についての情報提供をするなどの対応も行っております。

④障害手帳を持たない児童の放課後等デイサービス利用について

いのまた由美
「放課後等デイサービス」を利用するためには、必ず障害者手帳を持っていないと利用できないのでしょうか。

障害支援課長

児童の場合、療育手帳等が無くとも行政機関が必要と判断した場合、障害児のためのサービスを受けることが可能とされております。そのためアーチルが「放課後等デイサービスへの通所が適切である」旨の意見書をお出しすることで、利用することが可能となっております。

⑤不登校児の放課後等デイサービス利用について

いのまた由美
不登校の子が「放課後デイサービス」を利用する場合は、必要性が認められたら、午前中の利用も可能でしょうか。午前利用といいますか、一日利用のためには、どのような手続きや確認申請が必要になりますか。

障害支援課長

放課後等デイサービスの利用についていは、厚生労働省がガイドラインを示しており、子どもに必要な支援を行ううえでは、学校との役割分担を明確にし、学校で作成される個別の教育支援計画と、サービス計画を連携させるなどにより、学校との連携を積極的に図ることが求められております。

不登校の子どもにつきましても、学校や適応指導センター等の関係機関や保護者と連携しつつ、ご本人の気持ちに寄り添って支援していく必要があることがガイドラインに明記されております。

本市におきましても、事業所は関係機関や保護者と連携しながら、個別の必要性に応じ、午前の利用を可能として対応しているところでございます。

⑥不登校児の放課後等デイサービス利用に係る周囲の理解について

いのまた由美
ご答弁ありがとうございます。そのことを、放課後デイサービス事業者や、連携する周りの機関では知られているでしょうか。

障害支援課長

放課後等デイサービスは、主に放課後に、学校や家庭とは異なる人間関係や体験等を通じて子どもの成長を促す場であることから、不登校児の居場所となる場合もあることについては、必ずしも関係機関において理解が浸透していないものと認識しております。

このことから、放課後等デイサービス事業所が、不登校児やそのご家族から利用相談を受けた場合の対応につきまして、所属する学校等の関係機関と十分な連携を図った上で、必要な場合は、適切な受入れとサービス提供を行うよう、10月に開催した放課後等デイサービス事業所の研修会において周知したところです。

今後も研修会などの機会を活用し、放課後等デイサービスの適切な運用について周知するなど、児童の状況に合わせた支援に努めてまいります。

以上です。

南部アーチル OT・PT室(作業療法・理学療法)