代表質疑 里親支援センター・児童相談所など

2024第2回定例会は、6月10日から6月25日までの会期で開かれました。議案はこちらです。いのまた由美は6月17日の代表質疑二日目に登壇しました。

ここに質問と答弁のメモ(その1)を掲載します。一括質問ですが、わかりやすいように質問と答弁を対応させて表示しています。正確な記録ではないということをご了承ください。録画配信や会議録が出たらそちらをご参照ください。

その2は、宮城県後期高齢者医療広域連合規約の変更の協議に関する件
その3は、地方自治法
その4は、宮城県による四病院再編問題
その5は、メガソーラーの対応
その6は、ダイバーシティ&インクルージョン
質問と答弁を順次掲載予定です。

第79号議案 一般会計補正予算案 里親支援センター

いのまた由美
いのまた由美

はじめに、第79号議案 令和6年度仙台市一般会計補正予算のうち、「里親支援センター経費の追加」と、関連する社会的養育について伺ってまいります。

里親養育の現状と課題、里親支援センターに期待される効果等

いのまた由美
いのまた由美

本年4月から施行された改正児童福祉法は、児童福祉施設として「里親支援センター」を位置づけられ、本市は4月に「みやぎ里親支援センターけやき」を認可いたしました。本議案の補正予算は、里親支援センターを宮城県が広域利用するにあたり必要な経費を追加するものです。
国の「新しい社会的養育ビジョン」では、実親による養育が困難であれば家庭における養育環境と同様の養育環境で代替養育することを推進しており、乳幼児の里親委託率は75%、学齢期以降50%を目標としています。本市「社会的養育推進計画」では2029年度までに里親委託率49.4%を目標としているところで、2022年度末で本市の代替養育を受けているこどもの全数は、施設が163名、里親が89名で、里親委託率は41.8%でした。本市の里親養育の現状と課題、目標への進捗と受け止め、里親支援センターに期待される効果を伺います。

仙台市当局
仙台市当局

答弁:
仙台市社会的養育推進計画において、令和5年度末時点の本市の里親委託率の目標値は36.7%のところ、実績値は41.9%となっており、これまでの里親委託の推進に向けた取り組みは、一定の成果があったものと受け止めております。
「家庭養育優先原則」のもと、里親委託率をさらに向上させるためには、里親制度の普及啓発や里親を増やす取り組み、里親と里子の関係悪化による不調を防ぐことなどについて、これまで以上に充実した支援が必要と考えております。
この点について、里親支援センターと児童相談所が効果的に連携・役割分担を行いながら、定期的な訪問など、里親に対し一貫した体制で継続的に支援を提供することで、里親委託のさらなる推進が図られるものと期待しております。

厳しさ増す子育て環境への認識と、児童相談所の体制強化

いのまた由美
いのまた由美

2023年の全国の合計特殊出生率が1.20と発表され、本市でも概数値1.05と算出されました。こどもの数は減少の一途をたどっているなかでも、児童相談所における児童虐待相談対応件数は5年間で約1.8倍に増えており、こどもや家庭を取り巻く環境が厳しいことが現れています。子育ての孤立や、困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化している中で、本市は子育て環境をどのように認識し、著しく増加する児童相談所の業務に応じた体制強化をされているのか、伺います。

仙台市当局
仙台市当局

答弁:

本市の子育て環境への認識と児童相談所の体制強化についてでございます。
全国の児童相談所に寄せられる虐待相談は年々増加しており、本市の児童相談所でも令和5年度の虐待対応件数は、速報値で1,828件と、過去最多となりました。本市の子育て世帯を巡る環境もまた、厳しい状況が続いているものと認識しております。
児童相談所では、虐待対応件数の増加に応じた職員の増員を、計画的に進めており、また、今年度には、より専門性の高い支援を行う体制を構築するため、相談指導課を分割し、新たに心理支援課を創設するなど、組織体制の強化を図ったところでございます。

一時保護所の生活環境の改善と体制の強化

いのまた由美
いのまた由美

虐待や親の病気、貧困などさまざまな理由で一時保護を受けているこどもも増加傾向です。
一時保護の理由の約7割が虐待であり、一時保護の前後もこどもにとって重大な環境変化を伴い想像を絶する不安やストレスがあると思われますが、適切な環境下でケアを受け人との信頼関係を作れると、回復する力・レジリエンスを高める、長い道のりの一歩を踏み出すことができます。措置されるこどもは、最大限の権利保障と、最高レベルの安心や信頼を得られる環境下で回復されなくてはなりません。
しかしながら、こどもの緊急一時保護は安全確保に重きが置かれ、こどもの個別対応やケア、意見表明、学習権の保障が十分ではないことや、一時保護の期間の長期化などの問題があると全国的に指摘されいます改善は必須です。

一時保護所の生活環境の改善と体制の強化

いのまた由美
いのまた由美

本市の一時保護所は定員20名を上回る状態での一時保護が続いていましたが、昨年度の改修及び増築工事によって拡充されました。一時保護中のこどもの生活環境はどのように改善されたのか、また、対応する職員体制が十分なのか、伺います。

仙台市当局
仙台市当局

答弁:
一時保護所では、増改築が令和6年3月末に完了し、5月に、定員を20名から30名に増やしたところでございます。また、児童の特性に合わせた個別対応や感染症対策として、バス・トイレ付きの居室を設置するなど、生活環境の改善も図ってまいりました。
職員体制につきましては、児童福祉法による配置基準や、入所児童の定員増にあわせ、大幅な増員を行っており、職員の人材育成も進めながら、適切に運営しているところでございます。

一時保護の長期化とその改善

いのまた由美
いのまた由美

一時保護所でこどもが生活する平均在所日数は2021年度全国で32.7日、本市は34.9日となっています。一時保護の期間は原則として2か月を超えてはならないとされていますが、約2割が2か月を超えています。一時保護が長期化する理由と、改善するための今後の取組を伺います。

仙台市当局
仙台市当局

答弁:
一時保護した児童の家庭復帰の調整にあたりましては、父母、児童それぞれと面接を重ね、機が熟した段階で親子面接を設定するなど、児童が安心して帰宅できるような環境を整えていくことが肝要でございます。家庭や児童の状況により、調整等に時間がかかるケースも増えてきており、また、施設入所や里親委託の場合にも、家庭裁判所の審判や施設との調整に時間を要するケースが増えてきております。
こうした状況を踏まえ、保護者や関係者、関係機関等との調整に当たる児童福祉司、児童心理司の増員による体制強化等を図るなど、速やかな処遇の決定に取り組んでまいります。

こどもの人権保障・意見表明

いのまた由美
いのまた由美

改正児童福祉法では、(1)児童相談所が一時保護などの措置等を行うときには、こどもの最善の利益を考慮し、こどもの意見聴取を実施しなければならないとしており、また、(2)措置等の決定時やそれ以外の場面で、意見表明等支援員がこどもの声を聞き、児童相談所等との連絡調整を行うこととしています。


(1) 明石市では、第三者性をもった“こども財団”が事務局を担う社会福祉審議会こどもの権利擁護部会が意見表明支援機能を担っています。一時保護開始後にすみやかに委員がこどもと面会をして、こどもの様子を確認するとともに、こどもの意見や気持ちを児童相談所に伝えています 。本市においては、一時保護などの措置等を行うときの、こどもの意見聴取の仕組みをどのように確立しているか、伺います。

仙台市当局
仙台市当局

答弁:
本市では、これまでも一時保護などの措置に際して、職員が子どもに処遇の内容等を説明し、その意見、意向の確認をしてまいりました。令和4年の児童福祉法改正を受け、改めて相談支援の様々な場面で随時、丁寧に状況説明を行い、その上で子どもの意見、意向を聞き取る取組みを進めてきたところです。
加えて、令和4年度より、児童相談所等へ意見表明等支援員の派遣を開始し、こどもの意見表明権の保障を図っております。

いのまた由美
いのまた由美

(2) 今年1月に本市で親の支援を受けられない若者などの自立支援等をしている「NPO法人ほっぷすてっぷ」が、ドキュメンタリー映画「REAL VOICE」上映会を行いました。監督自身も児童養護施設出身で、児童虐待を経験した60人の若者が登場し、「声を聞いてほしかった」と語っています。虐待から逃れてもなお孤独感や生きづらさを抱えている実情を伝えていました。本市では、こどもの声を聞く意見表明等支援員(いわゆる「こどもアドボケイト」)を外部委託しておりますが、具体にどのような活動をして、こどもの権利保障をしているのか、伺います。また、里親に措置されているこども・里子の意見聴取も必要と考えますが、あわせて伺います。

仙台市当局
仙台市当局

答弁:
意見表明等支援員は、児童相談所の一時保護所や施設等を定期的に訪問し、施設での生活上の困りごとや悩みなどの話を聞き、子どもが希望する場合には、関係者にその意見を伝える活動をしております。
里子の意見聴取については、現在は児童相談所職員が面接の際などに丁寧に話を聞いておりますが、こどもの意見表明権は、社会的養護の下にある子ども全てに保障されるべきものであり、里子への意見表明等支援員の派遣に向けて必要な検討を進めてまいります。

児童養護施設を退所された方等へのアフターケア

いのまた由美
いのまた由美

児童養護施設を退所、里親から離れるなど、代替養育を終えた若者や、支援が必要な状態であっても措置は受けないまま育った若者は、虐待のトラウマによる精神不安や対人関係・経済的問題など困難を抱えていても、家族など頼れる人・相談できる人が乏しい場合があります。基盤がぜい弱な若者が、犯罪に加担したり被害にあったり、予期せぬ妊娠などでさらなる困難に陥らないためにも、自立へ向けて伴走支援をすることが重要です。当事者のこども・若者と信頼関係を築き、必要なときには頼りたいと若者に感じてもらうためにも、まずは繋がりをつくり、共に歩み、そして繋がりを途絶えさせないことが課題の一つとなっています。若者にフィットする手法を実施できる十分な体制や、若者に関わるさまざまな機関や団体が連携するなど必要と考えます。本市の取組みを伺います。

仙台市当局
仙台市当局

答弁:
本市では昨年度まで、児童養護施設等入所児童自立支援・アフターケア事業として相談事業を実施しておりましたが、今年度からは、改正児童福祉法に規定する社会的養護自立支援拠点事業として、対象者を拡充し、虐待を受けた経験がありながらもこれまで公的支援につながらなかった方などにも広げ、相互交流の場の提供や生活・就労等、より充実した相談支援を実施しているところでございます。
施設等を退所した後、社会の中で孤立することがないよう、引き続き関係機関と連携しながら支援を行ってまいります。

正確な会議録や録画配信はこちらです

上記質疑はいのまた由美作成のメモより掲載しており、当日の発語と差異があります。数か月後に公開される「会議録」が正確な文言です。正確な会議録はこちらから検索できます。

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録画中継も視聴できます。「いのまた由美/令和6年第2回定例会/6月17日/本会議(代表質疑)」をご覧ください。3営業日以降に公開されます。

仙台市議会インターネット議会中継
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