代表質疑 ダイバーシティ&インクルージョン

2024年第2回定例会は、6月10日から6月25日までの会期で開かれました。議案はこちらです。いのまた由美は6月17日の代表質疑二日目に登壇しました。

ここに質問と答弁のメモ(その6)を掲載します。一括質問ですが、わかりやすいように質問と答弁を対応させて表示しています。正確な記録ではないということをご了承ください。録画配信や会議録が出たらそちらをご参照ください。

代表質疑その1 里親支援センター・児童相談所 はこちらです。

代表質疑その2 マイナ保険証 はこちらです。

代表質疑その3 地方自治法 はこちらです。

代表質疑その4 宮城県四病院問題 はこちらです。

代表質疑 宮城県四病院再編問題
2024年第2回定例会は、6月10日から6月25日までの会期で開かれました。議案はこちらです。いのまた由美は6月17日の代表質疑二日目に登壇しました。 ここに質問と答弁のメモ(その4)を掲載します。一括質問ですが、わかりやすいように質問と答

表質疑その5 秋保長袋・メガソーラー問題 はこちらです。

ダイバーシティ&インクルージョン

いのまた由美
いのまた由美

最後に、ダイバーシティとインクルージョンについて伺います。
6月2日に本市の第一回ダイバーシティ推進会議があり、傍聴をいたしました。
「ダイバーシティ」は企業経営戦略上使われ始めたキーワードですが、会議における郡市長のキーノートスピーチからは、企業活動のみならず人々の暮らしのすみずみにダイバーシティとインクルージョンを広げ、共に生きられる仙台にしていきたいという、思いを感じ、共感いたしました。

多様な市民協働の蓄積と展望

いのまた由美
いのまた由美

郡市長のスピーチでは、東北大学では早くから女性や外国人の学びを支えてきたこと、仙台から全国にひろがった市民協働の福祉のまちづくりとして、1969年に障害のある当事者が声を上げて行動をおこしたエピソード、仙台市が日本で初めて「身体障害者福祉モデル都市」の指定を受けたことなど、を紹介されました。
他にも、本市は1981年の「完全参加と平等」がテーマであった国際障害者年に各種取組があり、1990年まで続いた「われら人間コンサート」や、現在も「とっておきの音楽祭」など多くの市民協働の取組の経緯があります。防災においても、女性防災リーダー育成など地域の課題を熟知した市民による協働の取り組みがなされています。これら市民協働の蓄積は本市の大きな強みですが、受け止めと、これからの展望について伺います。

仙台市当局
仙台市当局

市長答弁:
本市は、全国に先駆けたバリアフリーのまちづくりや、東日本大震災以降の防災分野のひとづくりなど、長年にわたる多様な市民協働の取り組みを通じて、市民の皆様の中に、お互いを思いやり尊重するという文化や、主体的な行動力が育まれてきたところであって、そのような力がまちの発展を後押ししてきたものと受け止めております。
この度、東北大学が国際卓越研究大学の認定基準を満たしたと認められて、今後、留学生や研究者など外国人の増加が見込まれますが、私は、今こそ、市民の皆様とともに紡いでまいりましたこの都市個性を海外にも通用するステージへと押し上げていく時期にあり、そのためには世界を視野に入れたダイバーシティまちづくりの考え方が重要になるものと認識をするものでございます。
ダイバーシティ推進会議でのご議論も踏まえながら、市民協働を礎とした仙台らしい世界標準のダイバーシティまちづくりを進めて、誰もが自分らしく輝くことができる社会を目指してまいる考えでございます。

仙台市第一回ダイバーシティ推進会議の意見交換から

いのまた由美
いのまた由美

くわえて、郡市長のスピーチでは、2022R4年度に「女性若者活躍推進会議」を開催し、こども若者局の若者支援の事業が始まったこと、困難を抱える女性に向けたアウトリーチ支援事業を始めたことに繋がったことや、仙台こども財団を立ち上げたことも報告されました。
本市のそれらの取組が、インクルーシブ・グロース(包括的な成長)の実績と評価され、OECDチャンピオンメイヤーズの一員に選ばれたと述べた郡市長は、「都市の持続的発展のためにはダイバーシティが不可欠であることを確信し、ダイバーシティのまちづくりを全国に先駆けて進めていきたい」と、強い意気込みを示されました。
会議の委員には、大学や経済界など各界で活躍されている12名が委嘱されました。外国からいらした方が研究やビジネスをしやすい環境づくりや、住居・医療・教育などにアクセスして生活をしやすい環境の充実、世界で活躍するビジネスの促進などが導き出されると考えますが、第一回の委員の意見交換から私の印象に残ったことを述べまして、以下四点質問いたします。

ワーク・ライフ・ケア・バランス

いのまた由美
いのまた由美

一点目が、委員である一般財団法人ダイバーシティ研究所代表理事の田村太郎さんが話題提供した中で、ダイバーシティがめざす方向性のマトリクスが示されたことに対し、委員からの意見が出されたことです。マトリクスは、横軸に、多様性を「受け入れる」「受け入れない」がとられ、縦軸に「変化する」「変化しない」の指標がありました。「多様性を受け入れず、変化しない」状態は、「排斥」。「多様性を受け入れないまま、変化する」のが「同化」。「多様性を受け入れ、変化しない」のが「住み分け」。「多様性を受け入れ、変化する」のが「共生・インクルージョン」で、そのポジションが「ダイバーシティ」であると述べられました。その話題提供を受けて、女性委員の方々は口々に、ご自身が大学や企業などで働いて活躍してこられた環境は、「同化」の状態だったと感想をおっしゃっていました。多くの女性は、働くことと子育てや介護など家族のケアとのバランスに苦心をされ、ケアを担わない方々が活躍する社会の中で「同化」し、たたかってきたのだと考えられました。今後、ダイバーシティに向かうためには、性別に関わらず「ケア」を分担していくことが必須と考えます。ワーク・ライフ・ケア・バランスの意識改革と、働き方の改革が、必要です。ご所見を伺います。

学校現場の、ダイバーシティ&インクルージョン

いのまた由美
いのまた由美

二点目が、学校現場についてです。海外では「違い」があるのが当たり前で、「違い」にこそ価値があると感じられるが、日本ではこどもの教育からそういう価値観が育まれにくいことなど、委員から指摘されていました。また、教員の働き方の現状も、家族のケアとの両立が難しく、共生に向けた働き方とは遠いということも指摘されました。働き盛りの子育て世代が、育休をとると教員不足で学校に負担がかかり、育休復帰してからもケアや生活を犠牲にしないと活躍しにくい環境があります。学校現場においては、ダイバーシティの意味を教えるだけではなく、学校そのものを、こどもの学ぶ環境や教員の働き方そのものを、「排斥」や「同化」から、「共生・インクルージョン」に近づけていくべきですが、ご所見を伺います。

外国人の人権問題

いのまた由美
いのまた由美

三点目は、「排斥」の問題です。ダイバーシティを世界にむけて声高らかにうたわれる一方で、足元の暮らしの中に、「排斥」され続けている人々がいることが気がかりでなりません。会議の委員からは、「ここにいる英語を話す白人の外国人が外国人の代表ではない」ということや、「もっとバラエティが必要だ」「当事者の参画が重要」という発言もありました。専門学校留学生や技能実習生や在日の方々などもおり、中には教育や経済的に困難を抱えている方もいます。1966年国連は国際人権規約を採択し、日本も1976年に第一選択議定書を除いて批准をしています。国連・委員会の審査では、日本の人権上の主な懸念事項として、在日韓国・朝鮮人、部落民及びアイヌ少数民族に対する差別的取扱いの存続、女性の雇用・給与等における差別の存在、など「提言と勧告」を受けています。また新たな「改正入管法等」は、「難民申請」を求める方々を排除しかねない問題、外国人労働者の永住権はく奪に繋がる問題など、ダイバーシティに反する内容となっています。
ダイバーシティまちづくりを目指す本市においても、世界の人権的潮流を念頭において在日外国人や民族アイデンティティを持つ方などの権利保障や配慮を進めていくべきですし、差別やヘイトを許さず、地域での共生に向けた相互理解を進めていくべきです。ご所見を伺います。

障害をもつ人のダイバーシティ&インクルージョンに向けた諸課題

いのまた由美
いのまた由美

四点目、最後に障害のある方々の暮らしについて伺います。会議では、ダイバーシティの国際的な議論の経過の説明として、2019年「OECD都市政策の原則」が紹介されました。原則には、すべての人々に機会を与える包括的な都市づくりの推進があり、地方公共サービスなどに誰もがアクセスできるようにするとされています。
郡市長のスピーチでは、防災環境都市づくりにあたり障害のある方の視点を取り入れた点も評価されたことをおっしゃっていましたが、私が第一回定例会でも指摘しておりますように、本市のインクルーシブ防災の取組にはこれから進めなければならないことが多々積み残されています。
こどもに関しても、例えば障害のあるこどもへのプラス保育が拡充されましたが、医療的ケアのあるこどもの保育の受け入れは道半ばです。
また、仙台でも多くの方が被害を受けた旧優生保護法の被害者への対応も、私は2023年第一回定例会一般質問で指摘しましたが、政治的解決がはかられないまま7月に最高裁大法廷での判決を迎えることになりました。優生保護法は、戦後最大規模の重大な人権侵害といわれ、国際人権条約や拷問等禁止条約、その被害に対し除斥期間を適用することは条約及び慣習国際法にも違反していると指摘されています。「これは公共サービスへのアクセスや快適な暮らしの保障どころか、国が積極的にリプロダクティブライツ・ヘルスを奪ってきたものです。宮城県は全国で2番目に被害者が多く、被害者の救済について、本市でも積極的に協力をしていくべきです。
世界に目を向けて選ばれるダイバーシティまちづくりや活躍推進を進めていくにあたり、まず当たり前の暮らしから排斥されている方々への対応を同時に力強くすすめていかれることを求めて伺い、私の第一問といたします。ご清聴ありがとうございました。

まとめての答弁

仙台市当局
仙台市当局

市長答弁:
ダイバーシティに関連した具体的な取り組みに関するご質問にお答えをいたします。
性別や国籍、年齢、障害の有無などに関わらず、全ての人が活躍できる社会を実現し、持続的な都市の発展を遂げていくには、既成の概念や無意識の偏見にとらわれず、社会全体でワーク・ライフ・ケア・バランスを含めた、働き方や生き方を変えていくことへの理解を深めていくことが必要なことであると考えます。
ご例示のあった差別的な扱いや被害救済を求める方への対応は、一義的には国レベルの課題であるものと存じますが、本市といたしましては、様々な「ちがい」を認め合いながら、誰一人として取り残されない、包摂的なまちづくりを目指すことが重要なものと考えております。
今後とも、このような視点を各般の施策に織り込みながら、市民お一人お一人が自分らしく成長できるダイバーシティまちづくりに、全庁をあげて取り組んでまいる所存でございます。

仙台市当局
仙台市当局

教育長答弁:
学校現場の共生・インクルージョンについてのお尋ねにお答えいたします。
各学校では教育活動において、互いのよさや個性、多様な考えを認め、協力して活動したり課題解決に取り組んだりする協働的な学び、そしてALTや海外の児童生徒との国際的な交流、また特別支援学校や特別支援学級の児童生徒との交流学習など、共生やインクルージョンを意識した体験的な活動に努めているところでございます。
また、教職員の多様な働き方が認められる環境でこそ、児童生徒も共生・インクルージョンの考え方に近づくものと考えておりまして、この間、教職員が育児や介護をしやすい環境整備などに努めてきたところでございます。
引き続き、児童生徒が他者を価値ある存在として尊重し、多様な人々と協働する意識や態度の涵養に努めてまいるとともに、教職員の働きやすい環境づくりを進め、魅力ある学校づくりに取り組んでまいりたいと思います。

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上記質疑はいのまた由美作成のメモより掲載しており、当日の発語と差異があります。数か月後に公開される「会議録」が正確な文言です。正確な会議録はこちらから検索できます。

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録画中継も視聴できます。「いのまた由美/令和6年第2回定例会/6月17日/本会議(代表質疑)」をご覧ください。3営業日以降に公開されます。

仙台市議会インターネット議会中継
仙台市議会インターネット議会中継

参考情報

2023年第一回定例会 一般質問:旧優生保護法と障害者差別