2025年第1回定例会は、2月7日から3月13日までの会期で開かれました。議案はこちらです。いのまた由美は予算等審査特別委員会の2月27日「健康福祉費」等と3月6日「教育費」等の審査に登壇しました。

ここに3/6「教育費」に関連する質問と答弁のメモを掲載します。正確な記録ではないということをご了承ください。録画配信や会議録が出たらそちらをご参照ください。
2/27の「健康福祉費」の質問と答弁メモはこちらです。
読み書きに困難のある児童の支援の充実
ディスレクシア…発達性読み書き障害… 定義や人数

主要事業「読み書きに困難のある児童の支援の充実」22万円余ほか、関連する事項についてお尋ねをいたします。
いわゆる「ディスレクシア・発達性読み書き障害」のあるお子さんの保護者から相談を受けました。ディスレクシアは、知的な遅れはないものの、生まれつき読んだり書いたりすることが極端に困難な人たちで、でもぜんぜん読めないのではなく、正確さとスピード・流暢さに課題があります。医学的には、発達障害の、限局性学習症SLD(いわゆる学習障害LD)のうちの読字障害など診断がある場合もあり、診断がなくても学習上の困難がみられる場合もあります。学習障害の中核をなす障害が読字障害であり、8割が該当すると考えられています。
日本語使用者の読み書き障害は、調査方法により異なりますが、2%から7%に出現するといわれてます。その他の障害に併存しているケースも含めるとさらに数は多くなると考えられます。 ディスレクシアのみでは特別支援学級に在籍する基準にはあてはまらず通常の学級に在籍しており、通級指導教室で学んでいる方もいます。
まず、文部科学省では「読み書きに困難」がある児童生徒をどのように捉えているでしょうか。国や本市における実態把握や人数の調査などはあるでしょうか。2点を伺います。

特別支援教育課長:
文部科学省では、全般的に知的発達に遅れはないものの、聞く、話す、読む、書くなど学習に必要な基礎的な能力を習得できなかったり、うまく発揮することができないため、学習上の困難に直面している状態を学習障害としており、「読み書きに困難」がある児童生徒は、このような状態のひとつとされております。
令和4年度の文部科学省の抽出調査では、学級担任の回答から、学習障害に該当すると推定される児童生徒の割合は6.5%と示されております。また、今年度実施した本市の調査では、保護者から配慮の申し出があった発達障害がある児童生徒のうち、学習障害の診断を受けている者は239人でございました。

仙台市の小中学校の令和4年度児童(生徒)が、合わせると7万6千人くらいいるので、そのうち259人(239人の言い間違い)が診断(有り)ということであれば、診断を受けていな方でももっと困っている方は潜在的にいるのではないかと考えることができます。
仙台市の全ての小学校に導入している「多層指導モデルMIM」

主要事業「読み書きに困難のある児童の支援の充実」の概要、目的について伺います。

特別支援教育課長:
本市では、読み書きに困難のある児童を早期に把握し、改善するため、全ての小学校に「読みのアセスメント・指導パッケージ(多層指導モデルMIM)」を導入し、主に1年生の国語の学習や通級指導教室で活用しております。具体の学習場面では、小さい「っ」や小さい「ゃ」の入る特殊音節と言われる言葉や、伸ばす音(おん)が入る言葉を視覚化したり動作化することで、児童にとって分かりやすい学び方を取り入れながら、指導を行っているところです。

多層的指導モデルMIMで、つまづきを早期に発見をするということは、重要だと思うんです。発達障害の中でもADHDやASD自閉スペクトラム症など行動面での困難に比べて、学習面の困難というのは、見た目ではわかりづらいので、気づかれにくいです。気づかれないまま、特性に合わない指導が繰り返されると、適応しようとして脳が過負荷になってとっても疲れてしまったり、学習の遅れや自尊心が失われるなどしてしまいます。
▼多層的指導モデルMIM
読み書きに困難があることを、早期発見できない場合に考えられる影響

できないことを怠けていると思われてしまったり、意欲がないと思われてしまったり、登校できなくなる方も、少なくありません。抑うつや心身症など「二次障害」も起こりえます。支援の方向性が定まるまで、なんで自分だけできないのだろうというふうに自己評価の過剰な低下だったり、どうしたらいいのか、どうすることができるのか、何年にもわたって親子で大変な苦しみの中にいたという体験も聞いています。
「読み書きに困難」がある状態が発見されず、早期の支援がおこなわれないと、児童生徒にどんな影響をもたらすとご当局はお考えになるでしょうか、また本市ではどのような支援が行われていますか。

特別支援教育課長:
読み書きは生活全般にかかわることから、その困難さがある状況への対応が遅れることは、教科の学習理解に難しさや遅れが生じる可能性があることに加え、自分に自信を無くして自己肯定感が下がったり無気力になったりと、心理面へ影響も考えられます。このようなことを防ぐためにも、早期発見に努め、必要性が認められた場合には、速やかに保護者との相談を行い、ルビを振る、問題文を読み上げるなど、まずは担任が取り組める支援から始めるよう学校に周知しております。
読み書きに困難のある児童生徒への、教員の理解

担任や教科担当の先生の学習の中での気づきや理解だったり、あるいは、本人や保護者から学校に相談したときに、それを受け止めるにも教員の理解というのがとても重要です。そこからしか支援を構築することができない現状ですので、教員の理解のために、市立学校の管理職も含めた教員には読み書き困難の指導や支援について、どのように理解を図っているでしょうか。

特別支援教育課長:
教育委員会では、合理的配慮について小学校版、中学校・高等学校版それぞれについてリーフレットを作成し、仙台市立学校の教職員全員に配布しております。読み書きに困難のある児童生徒への支援につきましても、具体例を示して掲載し、周知してまいりました。また、校長や教頭への研修、特別支援担当教諭を対象とした研修や、若手教諭に対する研修など、機会を捉えて、読み書きの困難さへの対応も含めた合理的配慮についての理解促進を図っているところでございます。

研修ですね。若手教員さんのほうがもしかしたら理解があるかもしれないという、保護者の方々からのお話しの事例では、ベテラン先生のほうが自分の指導方法に自信がある方は、なかなか理解が得られなかったという事例も聞いておりまして、そもそも特別支援の教育が教職課程の必修過程になったのも2019年と最近ですし、とにかく担任と管理職を含めた全教員が理解を推進していただきたいと思っています。
通常学級における合理的配慮の現状

学校設置者は、環境調整や合理的配慮をして、学びの環境を調整していかなければなりません。例えば、授業や宿題、例えば、授業、宿題、テスト、学習評価などにおいて、どのような調整や配慮が行われているのでしょうか。伺います。

特別支援教育課長:
小中学校における読み書きに困難がある児童生徒への合理的配慮といたしまして、授業やテストにおいては、デジタル教科書の使用、マス目の大きいノートや解答用紙の使用、タブレット入力での回答、書く量の調整などの配慮を行っております。また、宿題につきましても、内容や量を調整しており、いずれも、児童生徒及び保護者と学校とで相談し、個々の困難さの状況に応じて対応しているところでございます。
iPadなどICT機器の利用について

読み書きを補うICT機器のアプリの開発や指導方法の研究蓄積も進んでおります。一人一台端末のChromebookには対応していないアプリがあったり、カメラの解像度が低くて例えば黒板を写真で写すときに使えないということもあるので、iPad持ち込みなど、ICT機器使用をしたいという話も聞きました。本来だったら合理的配慮の提供のために学校のほうに配備されているのがいいとは思うのですが、私物の物を持ち込む実践例と、持ち込み許可までの流れを、伺います。

特別支援教育課長:
障害のある児童生徒が、個人のタブレット端末を使い、教員が黒板に板書したものを撮影することで、書くことの負担を軽減するなど、児童生徒のより効果的な生活や学習の支援につなげております。
個人のタブレット端末の持込みに関しては、保護者からの要望を踏まえ、学校が教育委員会へ申請し、協議の上、使用を開始することとしており、当該児童が中学校に進学する際には、小中学校間で情報共有し、中学校での手続きが円滑に進められるようにしているところです。
高等学校の入試、通級指導、合理的配慮

市立高等学校の入試や、高校における通級による指導、学習上の合理的配慮など対応の現状を、伺います。

特別支援教育課長:
市立高校や県立高校の入試におきましては、中学校からの申請に応じて、特定の行のみを集中して見るための補助具の使用や、漢字にルビを付したり、拡大したりした問題の使用、別室での受験などの配慮を行っているところです。
また、仙台大志高校を市立高校の通級指導の拠点校として担当教員を配置し、令和2年度より通級指導を実施しており、大志高校での指導のほか、教員の訪問による他校への指導も行っております。
学習上の合理的配慮として、特別支援教育コーディネーターを中心に中学校・高校の教員間での共通理解を図り、提出物の期限延長など特性に応じた支援を統一し、対応しております。
保護者への情報提供

保護者に対して、読み書き困難の理解の周知や、また今のように学校でどのような支援を受けて学ぶことができるのか、など情報提供が必要です。保護者への情報提供を充実させて、ホームページを通じても情報提供をすべきですが、伺います。

特別支援教育課長:
保護者への情報提供は、相談を受けた学校が個々の児童生徒の実態に合わせて行っているところであり、本市の特別支援教育に係るホームページには、国立特別支援教育総合研究所のホームページへのリンクを貼るなどして、情報提供に努めております。
保護者が、読み書き困難を含めた情報を、より広く集められるよう、特別支援教育に係るホームページについて、新年度の早い時期にリニューアルに取り組んでまいります。

読み書き困難だけじゃなくて学習障害というそういう通常学級におけるいろいろな情報が必要なのかなと思いますけれども、最近みた長野県教育委員会のホームページでは、担任から通級指導教室へとか、校内委員会があって、そして個別の指導計画を作って、とか保護者にとってわかりやすい内容で載っていたのでぜひご参考にしてください。
▼長野県 LDのあるお子さんに対する支援~早めの気づき適切な学び~
通級指導教室と学級担任の連携、自学で通級指導を受けられる体制づくり

次に、通級指導教室担当教員と担任など在籍学校の先生が、指導方法や配慮の共有なされたことによって、読み書き障害のある子が学校に行けなかったのが、登校や通常の復帰できたという例も聞いています。本当にそこまでの道のりが長かったということでした。
読み書きの困難に対する指導の蓄積を、通級指導担当教員間で共有して、個別の対応を児童生徒在籍校と共有していくことが重要だと考えます。また、他校に行く形ではなく、自校で通級指導を受けられると、保護者が送迎できない児童生徒も指導を受けることができますし、指導の共有も図られると思います。通級指導での学びと通常の学級や校内関係者との連携協力の推進と、自校で通級指導を受けられる体制づくりを求め、伺います。

特別支援教育課長:
通級指導教室の学習については、連絡帳を通して毎時間の様子を学級担任や保護者と共有できるようにしており、内容に応じ、通級指導担当者と学級担任が直接話をし、共有する機会を設けるよう、研修などで周知しております。
また、巡回指導のモデル事業においては、現在6校の教員が29校に出向き、校内の通級指導を実施しているところでございます。
通級指導教室が設置されている学校に在籍する保護者からは、送迎負担がないため利用しやすいなどの声もあることから、引き続き、児童生徒や保護者のニーズを把握しながら、困難を抱える児童生徒の学びの環境充実に努めてまいりたいと存じます。
「特別支援教育コーディネーター」の選任化

「特別支援教育コーディネーター」の先生が学校に1名おりますが、学級担任等の校務を兼任しているために、コーディネート機能を十分に発揮できていない場合もあると聞き及んでいます。R6年度は、コーディネーターを専任で配置するモデル事業が5校で始まりましたが、事業の効果を伺います。

特別支援教育課長:
今年度開始したモデル事業では、専らその任にあたる特別支援教育コーディネーターを配置することで、個別指導を行うほか、校内支援体制の構築や、近隣校に出向いての指導助言が円滑に行えるようになったところでございます。加えて、発達相談支援センターや地域の学校との連携窓口となった対応が進むなど、児童生徒へ適切な支援が迅速に届くようになった、教職員の障害理解が進み協力体制がより整ったなどの効果が得られております。
通常学級における特別支援教育の基礎的環境整備や合理的配慮の提供をすすめていくべきです

(特別支援教育コーディネーターを)専任で配置するモデル事業は5校以上には令和七年度予算上は拡大はしていないようですので、今後の拡大を求めます。
先ほどから英語を核とした新教科の検討開発の件で目玉になっていますが、日本語話者で5-7%といったところ、英語圏では10%、ディスレクシアが多くなることが言われています。
特性が理解されて、配慮があれば学ぶことが児童生徒に対して学びの保障をし、可能性を伸ばしていくためにも、通常学級における特別支援教育の基礎的環境整備や合理的配慮の提供を、すすめていくべきです。教育長のお考えを、伺います。

教育長:
困難さを的確に把握して、多面的、総合的、個別的に捉え、児童生徒が学びやすくなるために工夫をすることが合理的配慮につながると考えております。通常の学級においても、そうした配慮と環境整備を進め、学びの保障が実現できることが重要と考えております。
特別支援教育コーディネーターとして専任の教員を配置することで、児童生徒へのニーズに応じた支援の充実に加え、特別支援教育の校内体制整備や教職員の理解促進の効果も期待できることから、モデル事業の成果と課題の分析を行い、財源の確保も含め、特別支援教育コーディネーターの在り方について検討してまいりま
す。
正確な会議録や録画配信はこちらです
上記質疑はいのまた由美作成のメモより掲載しており、当日の発語と差異があります。数か月後に公開される「会議録」が正確な文言です。正確な会議録はこちらから検索できます。
録画中継も視聴できます。「いのまた由美/令和7年第1回定例会/3月6日/予算等審査特別委員会」をご覧ください。