2020年9月23日の決算等審査特別委員会での質問です
決算等審査特別委員会(2019年度の決算)で教育局に関して、いのまた由美が質疑をした一部、その1を掲載します。こちらで映像を観ることができます。
不登校支援(別室対応)について
2019年度の主な取組み
(いのまた由美)
決算年度における、不登校児童生徒数は前年度から99人増の1668人で増加傾向が続いており、本市の喫緊の教育課題となっています。決算年度における不登校児童生徒支援の主なお取組を伺います。
(教育相談課長)
決算年度の不登校児童生徒への支援についての主な事業内容につきましては
・児遊の杜、杜のひろばでの、自立への支援等を行う適応指導事業
・不登校相談事業や民間施設等と連携したサポート体制事業
・学校訪問対応相談員の派遣事業
・不登校対策事業における有識者との意見交換
などとなってございます。
「長期欠席別室利用状況調査」から見えた状況や課題
(いのまた由美)
私は昨年から議員をさせていただいて、ようやく1年経過したところですが、その間でも二度、教育機会確保法や昨年10月25日の文科省通知をもとに、「不登校児童生徒の支援の在り方について」、一般質問をさせていただきました。
10.25通知は「不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある」というものです。
市民のかたから、不登校のこどもの行き場所がなかったり、スティグマがあったり、社会や学校からの無理解などに、苦しんでいる親子のお話を、口々にお聞きますと、やはり制度として、学校に登校して教室の集団に入って行けないだけの理由で、教育や社会的自立の学びの機会を得ることはできないのは、放置しておくわけにはいかないと、考えるからです。
不登校児童生徒への支援のうち、教室に入って集団で学習することに負担を感じる児童生徒が、学校内の「別室」で過ごす、いわゆる別室対応について伺ってまいります。
平成29年度から30年度にまとめられた「仙台市不登校対策委員会の報告書」で示されている調査では、別室を設置している市内小学校は74%、中学校は92%でした。対応している先生は、小学校では養護教諭、教頭、教務主任が多く、中学校では担任、学年主任、不登校コーディネータと学級学年担当者が中心となって対応している様子がわかります。
決算年度は「長期欠席別室利用状況調査」が行われましたが、その調査から見えた状況や課題を伺います。
(教育相談課長)
令和元年度に実施した「長期欠席別室利用状況調査」では、別室など教室外の居場所を設けている学校が、小学校で89%、中学校で100%となっております。また、利用した児童生徒は、小学校で472名、中学校で624名で、多くの学校では授業の空き時間の教職員や管理職を割り当て対応している状況がございます。さらに調査からは、その年度で新たに不登校となった児童生徒が不登校児童生徒の4割を占めるなどの課題も見られ、改善のための初期対応が重要であると考えてございます。
別室対応選任教諭の対応について
(いのまた由美)
「仙台市不登校対策委員会の報告書」では、「別室対応」の今後についての提言がありました。「居場所と通級指導機能を備えた=在籍学級外教室」や「不登校対策専任教諭」の配置など、支援体制の強化が提言をされています。
決算年度以降の「別室対応」の取組を伺います。
(教育相談課長)
不登校対策委員会の提言を受け、本年度から市内中学校5校をモデル校に指定し、別室に専任の教員を配置する取組を開始したところでございます。専任の教員が別室の担任となることで、登校渋りのある生徒が別室に登校したり、保護者への連絡や相談の件数が増えたりするなどの効果が、当該校より報告されています。また、この専任の教員は不登校支援コーディネーターも兼務しており、在籍する学級担任による事案の抱え込みを防ぎ、職員間の情報共有や連絡調整を円滑に進めることができるようになるなど、登校を渋りがちな生徒への初期対応、早期支援に結びついております。
「ステーション」の取組みについて
(いのまた由美)
今年度、本市で、別室に担任を置くモデル事業を実施している5つの中学校のうち、東仙台中学校のお取組を視察させていただきました。「ステーション」という名称の、居場所教室です。
東仙台中学校でも、昨年度以前は他の学校と同様にいわゆる「別室」があり、そこで過ごす生徒もいらっしゃいました。
その「別室」の場所としては昨年度も今年度も同じなのですが、今年度「ステーション」としての取組が始まったことにより、関わり方の大転換があったと先生がおっしゃっていました。
教室の集団に入ることに負担を感じる児童生徒が別室は緊急避難的にそこで過ごして、時間を作れる先生が臨時的に児童生徒の様子を見たりかかわりをするという別室の対応があると思いますが、ステーションは、そこが生徒の「居場所」であり、教室復帰という結果のみを目標にするのではなく、その「居場所」での学びを通して、社会的な自立を目指すことができるという、対応がなされていました。
教育機会確保法や10.25通知で示されていることが具現化されている一つの取組と評価いたします。
「杜のひろば等」も視察をさせていただいております。一人ひとりによりそう支援が充実しているのですが、不登校児童生徒の人数に対して受け皿としては、受け入れ可能人数は少ない状況です。
ステーションでは、「児遊の杜」や「杜のひろば」で行っているような丁寧な少集団対応もなされているようにお見受けしました。教科の学習もおこなわれているのが、杜のひろばとの目につきやすい違いでした。同じ学校内であっても、他の生徒と同じ時間帯の移動にならないように、配慮をされていました。のぞめば、ステーションで学ぶ時間と普通教室で学ぶ時間と行き来も可能のようでした。「もりの広場」などの支援と併用している例もあるとのことです。
不登校児童生徒は多様であるので、児童生徒のタイプに応じた場所を活用できると、よりよい教育機会の確保につながると考えます。その一つとして、「ステーション」は有効と考えますので、モデル事業での効果や課題を検証し、拡充されていくことを求めます。「ステーション」に教員を加配することができれば、目的に沿った教育環境がいっそう充実すると考えます。
「ステーション」の拡充について、ご所見を伺います。
(教育相談課長)
学校内に設ける別室は、教室での授業に参加できないなどの兆候が見られた段階で、丁寧な個別支援を行う場であるとともに、杜のひろばなどの学校以外への施設へ通級する児童生徒が、学校復帰をするための足掛かりとなる場所でもあると考えております。不登校には、一人ひとりの状況に応じた居場所が必要であるため、専任の教員を別室の担任として配置するステーションの取組は、課題の改善に向けて有効であると考えてございます。
(いのまた由美)
今は、不登校生徒の多い中学校がステーションの検討対象になっていると存じますが、逆に数の少ない小学校低学年の登校しぶりや不登校児童への対応も、検討を深めなければならない面だと考えています。「杜のひろば」でも民間のフリースクールでも、まだ1,2年生の子を通わせるのができない場合が多いですし、日中に一人で行動させておくのも危険です。低学年だと特に「学校に戻す」ことが優先の目標になってしまい、耐え難い経験をする子どもや、救われない思いをする保護者もいらっしゃいます。
小学校では別室対応をされていることが最も多い養護教員をはじめ、子どもに目を向け手をかけられる大人を増やしていかなければならないと考えます。ご答弁求めませんが、お伝えします。
ICT活用による不登校支援について
(いのまた由美)
次に、ICTを活用した不登校生徒への学びの確保について、
決算年度以降の取組を伺います。
(教育相談課長)
家庭にひきこもりがちな不登校児童生徒に対しては、学校外の様々な関係機関等と連携し、その児童生徒の状況に応じた支援が必要と考えており、ICTを活用した学習支援は、そうした学びの場の一つと認識してございます。本年度、学校外の公的機関や民間施設等に通級していない不登校児童生徒が、自宅においてICT等を活用して学習活動を行った場合に、学校が指導要録上の出席扱いと判断するためのガイドラインを作成し、各学校に通知したところです。
(いのまた由美)
今年度にICTを活用した学習のガイドラインを策定されたとのことですが、出席認定の条件にあります、「月に1度の対面支援」について、どのような方法を想定されており、その条件を入れる理由は何でしょうか、伺います。
(教育相談課長)
「ガイドライン」は、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指すという視点に基づいて作成したものでございます。出席扱いの要件の一つとして、学校の教職員や市教委の学校訪問相談員等が、1か月に1回以上家庭訪問を行うなどして児童生徒と対面による指導を行うこととしておりますが、そのことは、当該児童生徒の自立を促すとともに、一人ひとりに応じた学習プログラムを作成し、その取り組み状況を把握することで、自宅にひきこもりがちな児童生徒の学習意欲を引き出す効果があると考えております。今後は、具体的な面接の場の設定や支援の方法等について各学校の検討への支援をしてまいりたいと存じます。