仙台市議会2020年第2回定例会の一般質問(2020/6/18)にたった、社民党仙台市議団・いのまた由美が質問した中の一つのテーマ「原子力災害避難計画」に関する記録です。一括質疑ですが、質問と答弁の関係をわかりやすくするために並び替えたり、強調したりしています。正式な会議録は、仙台市議会のホームページに掲載されています。
2020/6/18いのまた由美質問:女川原発 原子力災害時の避難計画に関して
女川原発重大事故時 広域避難の際の避難所の割り振り
34: ◯五番(いのまた由美)
原子力災害時の避難計画に関して伺います。
原子力災害が発生し、避難や一時移転の指示が出された場合、本市は、女川原発UPZ圏の石巻市から四万六百五人、東松島市から二万四千二百人の避難者を受け入れる計画になっています。本市には四か所の受付ステーションと市民センターなど、八十三か所の避難所の設置が計画されています。どの避難所に何名が避難されるのかは計画されているのでしょうか。
感染対策を取ることとされていますが、感染対策により避難できる人数が減りますが、どの程度と想定されておりますか、御所見を伺います。
36: ◯危機管理監
私からは、原子力災害時の広域避難につきまして、まず、広域避難の際の避難所の割り振りについてお答えいたします。
本市作成の原子力災害時における広域避難者受入れマニュアルでは、石巻市からの避難者四万六百五人を青葉区、宮城野区、若林区へ、そして東松島市からの避難者二万四千二百人を太白区、泉区で受け入れることとしております。なお、東松島市の原子力災害時における広域避難計画では、同市内の行政区ごとに本市のどの施設に避難するか、個別に計画を立てていると承知しております。
また、新型コロナウイルス感染症対策を取った場合に避難できる人数の想定でございますけれども、現時点ではおおむね三・三平米当たり二・五人程度の避難者が想定されているところです。避難者同士の十分な距離を取るなどの感染症対策を取った場合の受入れ人数は、当初の受入れ避難者数の約三割から四割程度になるものと想定しております。
女川原発重大事故時 避難元自治体の自家用車での避難台数
34: ◯五番(いのまた由美)
県によると、自家用車での避難が基本で、一台に二人乗車し、全体で十五万台の自家用車の移動が想定されています。本市の避難所の駐車場数は合計約四千台ですが、自家用車は何台避難されてくることを想定した計画となっているのでしょうか。駐車場は足りないのではないかと考えますが、伺います。
再稼働の手続が進む前に、本市でも原子力災害を想定した避難訓練を実施し、計画の実効性を確認する必要があると考えられます。どのような課題認識を持ち、県や石巻市や東松島市と調整をされているのでしょうか、伺います。
36: ◯危機管理監
次に、避難元自治体の自家用車での避難台数についてのお尋ねでございます。具体的な台数は承知しておりませんが、駐車場の確保につきましては、基本的に避難元の自治体が行うということになっております。本市内における広域避難先の駐車場台数が不足するようであれば、避難元自治体において自家用車の乗り合わせやバス等の利活用、あるいは新たな駐車場の確保などが必要になるものと認識しております。
次に、原子力災害を想定した避難訓練についてお答えいたします。
訓練の実施は、広域避難計画の実効性を高める上で大変重要なものであると認識しており、本市といたしましても、県が主催する原子力防災訓練に参加しているところでございます。
平成三十一年一月に開催された訓練では、実際に東松島市からの広域避難の受入れを行い、避難所受付ステーションでの対応や避難所での受入れなどを実施いたしました。今後も、県主催の原子力防災訓練等を通じ、石巻市や東松島市との連携を図ってまいりたいと存じます。
女川原発重大事故時 広域避難計画等の実行性の認識
34: ◯五番(いのまた由美)
宮城県が昨年度調査した避難経路の阻害要因調査の報告が五月二十一日に示されました。報告書では、避難先の自治体の受付ステーションまでの所要時間をシミュレーションしていますが、途中の検査場での渋滞や受付ステーションでの渋滞、避難される方のトイレ、休憩、給油、食事などの時間は考慮されていません。それらを考慮すると、避難時間はさらに延びます。周辺自治体の方が無事に避難できる条件が机上の計算でも整っていないと言わざるを得ません。県の広域避難計画及び本市計画の実効性には疑問が持たれます。御所見を伺います。
36: ◯危機管理監
次に、広域避難計画等の実効性の認識についてお答えいたします。
広域避難計画は、宮城県が示すガイドラインに基づいて避難元自治体が策定しております。先般、県より示されました阻害要因調査報告書の結果ですとか、今般のコロナ禍の状況、そういったものを踏まえまして、今後、県によるガイドラインの改正、そして、それを踏まえて避難元自治体による広域避難計画の修正が適切になされるものと考えております。
女川原発再稼働を推進する東北電力の株主である仙台市の責任
34: ◯五番(いのまた由美)
六月二十五日には、東北電力株式会社の定時株主総会が開かれます。先立って、脱原発市民会議と秋保石神町内会が株主である本市の対応について申入れを行いました。脱原発東北電力株主の会は、東北電力の定款を一部変更し、原子力災害対策への責任という章を新設することを株主として提案されています。実効性のある避難計画と避難訓練の実施によって、住民の被曝を防ぐことを最重要の課題とし、その実効性が担保されない限り、原発を稼働させないということを電力会社に規定するもので、もっともなことです。しかし、取締役会としては、株主の会の提案に反対するとし、その理由は、避難計画は本年三月の女川地域原子力防災協議会で具体的、合理的なものであることが確認されたとしています。ですが、さきに申し述べたとおり、本年五月に報告された県の阻害要因調査と現避難計画の整合性は図られていません。現本市計画どおり、避難所に受け入れることさえも確かではありません。これらの現実を認識され、株主の会の提案に賛成すべきと考えますが、御所見を伺います。
36: ◯危機管理監
次に、東北電力株主総会での株主提案についてお答えいたします。
万が一の原子力災害に備え、県は避難計画作成ガイドラインを、避難元自治体は広域避難計画をそれぞれ策定し、訓練等により、その実効性向上に努めているものと認識しております。
そうした認識の下、東北電力の株主総会につきましては、提案されたそれぞれの議案の内容等を精査の上、関係部局と協議し、本市といたしましては、株主として適切に対応してまいりたいと存じます。
女川原発再稼働に対する仙台市の認識
34: ◯五番(いのまた由美)
地元紙の調査によりますと、県民、市民は女川原発再稼働に六割が反対をしており、七割が不安を感じ、再稼働の同意は全自治体に求めるべきと六割が望んでいます。そういった市民の皆様の思いを受け止め、仙台市として宮城県や東北電力に対してしっかりと意見を伝えることを求めて、御所見を伺います。
以上で、私の第一問といたします。
36: ◯危機管理監
最後に、女川原子力発電所の再稼働についてお答えいたします。
原子力発電につきましては、再生可能エネルギー等、多様なエネルギーの活用を通じて、その依存度を逓減させていくべきものと考えておりますが、原子力を含むエネルギー政策はこれまで国策として取り組まれてきたものであることから、まずは国がエネルギー資源の状況等を勘案しつつ、安全性の確保を大前提とした上で、安定供給や経済性、環境性などの観点を踏まえながら判断すべき事案であると考えております。
以上でございます。
再質問
いのまた由美 原子力防災の避難計画について
原子力防災の避難計画について再質問をさせていただきます。
質問の中で、避難訓練における課題認識についてお尋ねしまして、県の避難訓練に参加して、有効な機会だというふうに御答弁いただきましたけれども、例えば平成三十一年に避難訓練をされましたけれども、私は自家用車での避難を想定しているということを申し上げて、そういった訓練はなされていないことなども私は課題というふうに考えるのですが、そういった部分を本市としてもまだ現実的で実効性のある避難訓練ができていないという課題認識は持たれるべきだと考えますが、その点を伺います。
そしてもう一点ですが、東北電力の株主総会に関する株主提案への本市の態度についてお尋ねをいたしましたが、議案を見て態度を決めるということをお答えいただきましたけれども、私がこの質問の中で申し上げているのは、避難訓練の実効性、有効性が、きちんと整合性が図られているかどうかと考えると、それはできていないのではないかということを申し上げております。それぞれの株主提案の条項ではなくて、そこの部分に関して私は質問をしていますので、お答えいただければと思います。
再質問への答弁
◯危機管理監
重ねての御質問でございます。
まず、訓練の関係ですが、その課題認識でございますが、議員御指摘のとおり、平成三十一年一月の訓練ではバスを用いた訓練をしておりまして、自家用車を想定したものではございません。そういった点では、確かに実際にどういったことになるのかという点では、まだ訓練の部分でそういったことがなされていないということは事実でございます。私ども、県ですとか避難元の自治体と意見交換する場もありますので、そういった際に私どもとしても要望といいますか、そういったことを少し意見交換しながら、実施に向けてまいりたいと思います。
それから、株主総会の件でございますけれども、現在のところ、阻害要因調査も出されたばかり、それから新型コロナも四月に起きて、今こういった状態ですので、なかなかすぐにそういったものも踏まえて、全てがきれいに整合性の取れる計画をつくるというのはちょっと時間的にもまだ少しかかるんだろうと思います。ただ、これは県のほうで、先ほども言いましたけれども、ガイドラインをつくり、それを基に各自治体も計画をしていく、実際はもちろんそこに住んでいらっしゃる市民の皆様の安全・安心を確保するためには絶対そういった取組はしていかなければならないですから、そういったことが適切に行われるだろうということで今考えているところでございます。