2021年2月8日から3月12日の33日間の日程で、第1回定例会が開会中です。議案等はこちらです。予算等審査特別委員会の日程はこちらです。
はじめに(記憶だよりの不正確な質問答弁メモです)
いのまた由美作成のメモより掲載しています。当日の発語と差異があります。数か月後に公開される「会議録」が正確な文言です。正確な会議録はこちらから検索できます。
録画中継も視聴できます。
「いのまた由美/令和3年第1回定例会/3月1日/予算等審査特別委員会」をご覧ください。
2月26日市民費の『若年女性支援、困難を抱える女性支援について』とセットで質問を考えました。
質問:婦人保護事業、母子生活支援施設、危機的妊娠
とりいそぎ、質問と答弁の要旨を掲載します。質問のための資料や参考情報などなど、質疑のあとに追記していく予定です。
仙台市の婦人保護事業費の内訳
困難を抱える女性等の支援に関連し、婦人保護事業について伺います。
婦人保護事業の事業内容と、本市の婦人相談員の人数と役割についてご説明ください。
あわせて 新年度予算 社会福祉費 婦人保護事業費 115万7千円のおもな内訳をお示しください。
(要旨)
・婦人保護事業では、売春を行った者、売春を行う恐れがある者のほか、近年は、DVやストーカー被害者、親族からの暴力や貧困など社会情勢の変化に伴い、様々な問題を抱えた女性を対象に保護や援助を実施。
・各区家庭健康課等に配置されている婦人相談員は全体で28名。子供家庭総合相談の中でDV被害や離婚問題等に関する相談を受け支援を行うとともに、必要に応じ関係機関につなぐ役割。
・事業費内訳については、市外の母子生活支援施設へ広域入所する場合の母子の移送にかかる費用29万5千円、その際に関係機関との連絡に使用する携帯電話使用料19万7千円など。
ご答弁にありましたように婦人保護事業は、対象者が、DV、性暴力被害、貧困親等様々な困難を抱える女性に拡大をされてきています。ですが、支援の必要な方がつながりにくく利用しにくいという現状が指摘されています。
婦人保護事業の関係機関のうち、婦人相談所・婦人保護施設は宮城県の所管であり、本市は設置していませんが、婦人相談員が区役所・総合支所にいらっしゃって役割を担っているということです。2015年の全国調査では、全国の婦人相談員の46%が市区福祉事務所に配属されています。
本市は、以前から子供家庭総合相談事業という体制をつくり、子ども家庭や女性に関わる相談等総合的に相談を受けており、その中に婦人相談員も配置されていると伺いました。
婦人保護事業が抱えている課題について、国のほうでも2018年から検討会で話し合われ、運用見直しの通知も出されていますので、婦人相談員をおく本市としても動向を注視していただけたらと思います。
母子生活支援施設の事業内容と、一時保護
次に、母子生活支援施設の事業内容を伺います。
(要旨)
母子生活支援施設は、配偶者がいない、あるいは何らかの事情により離婚の届出ができない女性が、児童の養育が十分にできない場合に、児童とともに入所し、施設が配置している母子支援員等の専門職員が自立に向けた支援を行う児童福祉施設。
・施設では母親が無職で求職活動を行う場合の間、施設内で児童を預かり、就労に向けたサポートを行うなど、母子が安定した生活を営める環境が整うまで、継続した支援を実施。
母子生活支援施設緊急一時保護事業費 66万6千円 の予算がありますが、
どのような場合に緊急一時保護がされるのかをご説明いただき、その実績について伺います。また、本市の緊急一時保護とは別の制度で、県婦人相談所からの一時保護委託を受ける仕組みもありますが、実績を伺います。
(要旨)
・緊急一時保護はDV等の被害者である母子が、みずからの力で安全に避難できる宿泊先等を確保できない場合に、本市所管の母子生活支援施設において一時的に保護するもの。令和元年度の実績は9件。
・県の婦人相談所は本市の所管する母子生活支援施設に、一時保護の委託は行っていないため、これまで受入の実績は無い。
県の婦人相談所からの一時保護委託の件数はゼロということですが、全国的にみて、婦人相談所による一時保護件数は2015年以降減少し続けていて、2017年以降は取り分け落ち込みが高くなっています。2009年(平成21年)12160件、2015年(平成27年)9694件 2017年(平成29年)7965件です。宮城県では、2015年(平成27年)67件、平成29年55件です。
若年被害女性の負担軽減と迅速な支援の実施のための運用改善についての認識
他機関をあわせてDV被害相談などは増えていて、ニーズはあるのに、公的支援に繋がっていないという現状です。そのことを問題視するなどして、先程申しまたように2019年に厚生労働省から婦人相談所に対して通知が出ています。
その内容の一つは、性暴力や虐待等の被害にあった、またはあう恐れのある主に10代から20代の女性の一時保護の受け入れに当たっての留意事項です。若年被害女性本人の緊張と不安を緩和し、安心して援助を受けることができるという気持ちを持てるよう留意し、本人の意向も踏まえた適切な支援を進めることという内容です。他にも、一時保護をする施設に直接被害者が来所して保護を求めた場合、事後に婦人相談所に連絡して速やかに一時保護委託の要否を判定して決定する取り扱いができると規定されています。しかし徹底されていない事例もあると指摘されています。
本市は実績はゼロですが、制度上は婦人相談所から母子生活支援施設に一時保護委託を受けられるとされています。
そこで伺いますが、本市においても、母子生活支援施設や福祉事務所で若年被害女性との対応にあたる際は、これら留意事項が出されている趣旨をご理解いただいた上で、若年被害女性の不安や意向によりそって、婦人相談所と繋ぐなどの対応をしていただきたいですが、ご所見を伺います。
(要旨)
・子どもを連れた若年被害女性については、本市で実施している緊急一時保護を検討するなどの対応を実施。
・単身の若年被害女性については、県の婦人相談所に一時保護を決定する権限があるため、区の婦人相談員が婦人相談所へ同行するなど、被害者に寄り添った支援を行っていきたい。
困難を抱える妊婦の扱いに関する 母子生活支援施設への国からの通知の認識
厚生労働省は、婦人相談所が妊婦から相談を受けた場合、「母子生活支援施設への一時保護委託が可能であり、出産後は、通常の入所に切り替えることにより、妊娠段階から出産後まで一貫した母子の支援を行うことができる。」と改めて通知されています。母子生活支援施設においても、困難を抱える妊婦の状況に応じて、出産前から一時保護をして、産後も切れ目のなく支援できるよう対応を求めます。ご所見を伺います。
(要旨)
特定妊婦等が、妊娠期から母子生活支援施設に入所し、出産後も継続して同じ施設で生活することは、母子にとって安全安心な環境が確保され、有効なものであると認識。
・一方で、出産前の妊婦の一時保護は、県の婦人相談所の権限であり、委託により本市の母子生活支援施設が受け入れることについては、部屋数の問題や職員の体制面で課題があり、今後、施設側の体制を整える必要があるため、直ちに対応することは困難な状況。
・今後、施設側と一時保護委託の受け入れについて課題の整理等を行っていく。
全国母子生活支援施設協議会では、支援を必要とする世帯は増加する一方で、ミスマッチがおきていると報告しています。子育て期から子どもの自立まで一貫した切れ目のない支援ができるよう、困難を抱えている妊婦の対応の体制の在り方をご検討ください。
SNSを活用した妊婦等に関する相談事業、危機的妊娠
ところで、これまでは本市では、困難を抱える妊婦の方がつながる窓口として「せんだい妊娠ホットライン」がありましたが、新年度からは新規にSNSを活用して妊婦等に関する相談事業を開始するとされています。
「妊婦等に関する相談事業」の事業目的と、SNSの活用をはじめるねらいについて伺います。
(要旨)
妊娠等に関する相談事業は、助産師等の資格を有する相談員が、妊娠期からの悩みを抱える方からの相談に対し、専門性の高いアドバイスや保健指導を行うもの。
・妊娠の可能性や中絶など、望まない妊娠に悩む若年女性からの相談を想定。
・平日の日中に区役所に訪問・電話をすることは通学等の都合により難しい学生等からの相談 もあると考えており、受付時間を夜間帯とするとともに、若年者に身近なツールであるSNSも活用し、平日日中以外にも相談を受け、必要に応じて関係機関につないでいく。
妊娠相談を受けているNPOからも、LINEやTwitterなどSNSを入口にした相談が半数であると伺っています。SNSの活用によって必要な方と繋がりやすくなると思います。
「危機的妊娠」という言葉があります。予期した妊娠や望んだ妊娠であっても、その女性の生活や人生にとって負の影響を与える聞きであるような妊娠ということです。今ある公的支援にきっちりつなげる連携や、窓口を知らせる、民間と連携するなどで、しっかり対応していただくことを求めて、質問を終わります。