原子力災害対策、原子力防災について質問しました【仙台市議会】女川原発・福島第一原発

2021年2月8日から3月12日の33日間の日程で、第1回定例会が開会中です。議案等はこちらです。予算等審査特別委員会の日程はこちらです。

はじめに(記憶だよりの不正確な質問答弁メモです)

いのまた由美作成のメモより掲載しています。当日の発語と差異があります。数か月後に公開される「会議録」が正確な文言です。正確な会議録はこちらから検索できます。

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「いのまた由美/令和3年第1回定例会/3月5日/予算等審査特別委員会」をご覧ください。

仙台市議会インターネット議会中継
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質問:原子力災害対策について

とりいそぎ、質問と答弁の要旨を掲載します。質問のための資料や参考情報などなど、質疑のあとに追記していく予定です。

福島第一原発事故から得た教訓は何か

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
消防費-原子力災害対策費に関連して伺います。
福島第一原発事故から、まもなく10年が経ちます。原発事故複合災害によって、ふるさとやなりわいを奪われた方々など、深い苦しみや悲しみを抱えていらっしゃる方々に、心からお見舞いを申し上げます。

質問の一つ目ですが、原子力災害から住民の財産や生命を守るにあたり、自治体として福島第一原発事故から得た教訓は何でしょうか、伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の際は、原発事故により放出された放射性物質を含む大気の影響が広域に及びましたが、災害の状況が分からず、市民の皆様に適切に情報を伝達できなかったという反省がございます。

こうした教訓を踏まえ、本市では女川原子力発電所から30㎞圏外に位置しており原子力災害対策特別措置法に基づく計画の策定義務はないものの、市民の皆様の安全・安心のため、平成26年4月に「地域防災計画【原子力災害対策編】」を策定しました。

更に、電力事業者と情報連絡体制に係る協定締結や、モニタリングポストの設置等、独自の情報収集体制の整備にも取り組んでおります。

2021年2月13日の福島沖を震源とする地震について

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
2月13日の地震において、原子力防災上の区分ではどのような状態だったのでしょうか。原子力施設事業者から本市に報告された事象等はあったのでしょうか、伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
2月13日の福島県沖を震源とする地震につきましては、女川原発が所在する石巻市で震度6弱を観測しましたことから、原子力規制委員会が定める原子力災害指針における「警戒事態」に該当する事象でございました。
本市は、東北電力との「女川原子力発電所における事故等の通報連絡等に関する協定」に基づき、地震発生から約30分後のFAXでの第一報を受け取り、それ以降、複数回の情報提供を受けております。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)

女川原発以外の、本市に原子力防災上影響のある福島第一原発など、その他の原子力施設については、いかがだったでしょうか。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
2月13日の影響で、福島第一原発は、1号機と3号機で水位が低下、1号機は格納容器の圧力も低下、気体が漏れているようです。3号機が地震計が去年7月の大雨のあとから壊れていて計測できていないことが発覚しています。原子力規制委員会の緊急情報は、2月14日で止まっていて、今言ったことは書いていません。本市の原子力災害の情報収集について、振り返りをしてください。

原子力災害 緊急時の市民への情報伝達について

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
原子力防災上の事象や事態が発生した時に、本市から市民や滞在者に情報を伝達する基準や、方法はどのようになっているのでしょうか。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
東北電力などから原子力災害対策特別措置法に定める「施設敷地緊急事態」又は「全面緊急事態」に相当する事象の発生について連絡を受けた場合は、「屋内退避の準備」を発令し、市民等に対して正確な情報を提供するため、報道機関に放送要請する他、本市ホームページやメール等で伝達するなどとしております。
この度の地震は、女川原発では「警戒事態」の発令にとどまり、5時50分には点検が完了したことから、これに関する市からの情報の発信は行っておりません。

原子力警戒本部・災害本部の体制について

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
万が一、原子力防災上の事象や事態が発生したときの警戒本部・対策本部は、どのような体制になるのでしょうか。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
宮城県及び女川原子力発電所から30㎞圏内に含まれる7市町につきましては、原子力災害対策特別措置法などに基づき、万が一の際には、災害対策本部等を設置いたします。本市におきましては、法に基づくものではございませんが、広域避難の受け入れ等の対応にあたるため、本市地域防災計画に基づき、災害対策本部等を設置いたします。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
県と合同で対策本部設置しないのでしょうか。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
災害対策にあたっての役割も異なりますことから、県と合同での設置はいたしませんが、県に情報連絡員を派遣するなど、連絡体制を密にして対応にあたることとしております。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
東京電力福島原発事故調査検証委員会報告書では、今後求められる原子力災害時の情報集約伝達の在り方として、現地対策本部・オフサイトセンターに情報を集中させ、電力会社や国や関係機関と連携をさせる体制が必要と総括しています。本市と、県、オフサイトセンターとのつながり方もはっきりさせておくことを求めます。

原子力災害時避難行動への平時からの仙台市民の理解や周知

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
防災計画等では、仙台市は、女川原発で全面緊急事態となった時にUPZ圏の住民等の避難先の一つになる場合があるとされています。その際、仙台市内に受付ステーションや避難所を設置するので、体育館や市民センターが使えなくなったり道路が渋滞したり、など住民への影響も多々あります。また、仙台市民も場合によっては、避難行動をすることが計画に定められています。基本的には屋内避難ですが、空間放射線量によっては安定ヨウ素剤の服用や、屋外一時避難も本市の計画に記されています。

そこで質問ですが、原子力防災上の、どのような事態のときに、どのような行動をするとされているのか、仙台市民が理解しているとお考えでしょうか、伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
万が一、原子力災害が発生した際には、放射線量に応じ、「屋内退避」、「一時移転」をそれぞれ「準備」、「指示」の2段階で発令することとしており、例えば「屋内退避の準備」が発令時は、できるだけ外出を控えるなど、状況に応じた行動をお取りいただきます。
これらにつきましては、平成30年4月より本市地域防災計画に追記し、市民の皆様へ普及、啓発を図っているところでございます。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
平時から市民や地域団体等に原子力災害への備えやとるべき行動について周知しておく必要があると考えますが、これまでの周知や、今後の取組予定を伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
原子力災害に関する市民周知につきましては、市政だより、本市ホームページのほか、市民向けのパンフレット、児童生徒向けの教材、その他多様な伝達手段により周知を図っているところでございます。
今後も引き続き、周知に努めて参ります。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
原子力防災にあたっては、たとえ確率が低いとしても最悪の事態を想定した防災体制を構築しておかなければならないという、福島第一原発事故の教訓をふまえ、平時から原子力災害時の住民の避難行動の周知を求めます。

宮城県 (原子力災害)避難所運営ガイドライン

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
昨年12月に県が「避難所受付ステーション運営ガイドライン」を策定し、本市にも示されたということです。どのような内容でしょうか、伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
宮城県が策定しました「避難所受付ステーション運営ガイドライン」は、原子力災害発生時の円滑な一時移転や避難を実施するため設置される避難所受付ステーションについて、県や関係自治体の事前対策のほか、開設・運営・閉鎖についての基本的事項を定めたものでございます。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
運営ガイドラインに基づいた協定の締結や要因確保、資材、そのほか、対応はできているのでしょうか。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
避難受付ステーションは、感染症対策を考慮し,基本的にドライブスルー方式とするとされているが、例えば、外国語や手話様々な言語、コミュニケーション方法の配慮が必要であるということを、仙台市から意見すべきです。伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
委員ご指摘のとおり、避難所受付ステーションの運営にあたりましては、外国人をはじめ様々な配慮を必要とする方の対応が必要となることも想定されます。
従いまして、多言語シートの活用といった、自然災害時における本市のノウハウを県や避難元自治体に提供するなど、配慮が必要な方でも災害に関する情報を適切に把握できるよう協力してまいりたいと考えております。
また、避難所受付ステーションにおける車両の導線をあらかじめ設定することや、車内から確認できる掲示板を設置するなど多数の車両を効率的に誘導するための実効性のある取組みについて、県及び避難元自治体へ検討を要請してまいりたいと考えております。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
運営ガイドラインが示され、避難に要する時間や資源などの具体を検討をしていくと、避難計画の実効性は担保できていないということが、明らかになってきているのではないでしょうか。ご所見を伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理室参事兼防災計画課長)
広域避難計画の更なる実効性の確保については、市町村長会議などを通じ、既に県に要望しているところです。
実効性の担保は、各種計画の策定にとどまらず、それに基づく防災訓練を実施し、検証することも不可欠であり、県には訓練機会の充実やその後の検証による計画の見直しを求めてまいります。
引き続き、必要な意見を県に述べてまいりたいと存じます。

さいごに。主体的、具体的な原子力防災を

いのまた由美
いのまた由美

原子力災害は、広範囲な地域の生命と健康に影響を与え、経済活動も停滞させ、地域社会の崩壊をまねきます。福島県によるといまだ避難生活をしている方は3万7千人です。福島原発事故の調査や検証は終わっていません。原子力緊急事態宣言は解除されていません。各地の使用済み燃料など放射性廃棄物処理の見通しも立っていません。それにも関わらず、原発再稼働ありきのエネルギー政策は転換されていません。女川原発再稼働にあたっても県民・市民の意見を確かめず、立地自治体お二人の首長と宮城県知事の同意であたかも地元同意がなされているかのように手続きが進められることは、拙速で、残酷なことです。

いのまた由美
いのまた由美

昨年9月に東京電力廃炉資料館、双葉町の伝承館など浜通りを個人視察して回りました。伝承館では、原子力エネルギーが未来をつくり、多重防御により安全で、いざというときにも安心して避難できるということが日常的にPRされていることが展示品からわかりました。また、語り部さんからは、事故が起こったあと住民生活に与える影響についての知識が圧倒的に不足していたという教訓を聞きました。1月には、女川原発を視察しました。新規制基準に適合するように構内では大規模な土木工事が続いており、安全性を追求するため高い使命感や誇りを持って働いていただいていることはよくわかりました。しかし、高い安全性ばかりが住民の目につくような現状では、イチエフ事故前の原子力行政の教訓が生かしきれているようには思いえません。

いのまた由美
いのまた由美

最後に伺います。
防災計画・避難計画を立てるのは自治体であります。国の原子力規制庁や防災会議、原子力事業者間でも住民避難への責任はあいまいです。私たち社民フォーラムは原発は再稼働させるべきではないと求めていますが、再稼働しなくても避難計画の整備は必要です。東日本大震災と福島原発事故の教訓を踏まえ、原子力災害から住民を守るための防災計画、訓練、情報提供、安定ヨウ素剤の配備運用を含めた準備等、もっと主体的に具体に進めてください。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市危機管理監)
原子力に関する事項につきましては、まずは国が責任を持って判断すべきと考えておりますが、原子力災害が起こった場合、影響は甚大でありますことから、本市としても、これまで地域防災計画の策定をはじめ、様々な取り組みを続けてきたところでございます。
また、これまでも国や県、事業者と意見交換や要請を行い、情報連絡に係る協定の締結等に至っております。今般、以前から要望しておりました避難所受付ステーションの運営ガイドラインが県から示されるなど、より実効性のある細部計画を策定する取り組みも進められているところでございますので、本市としましても、今後も市民の安全・安心を第一に、地域防災計画等の実効性の向上や、広域避難における避難元自治体との連携に努めてまいりたいと存じます。