インクルーシブ教育・通常の学級でより丁寧な対応ができるよう、特別支援教育や不登校支援について、質問しました【議会】

2019年(令和元年)第4回定例会 会期
12月5日から20日のうち、私は12月13日の一般質問に登壇しました。

以下は、私の質問と答弁の要旨です。
「一括方式」で質問をしていますが、質問と答弁の対応がわかりやすいように、切り分けて並べ替えて掲載しています。
前編、中編、後編の3回に分けて掲載します。こちらは中編です。

正式な会議録は、2ヶ月以上後に仙台市議会ホームページに掲載されます。
どうぞ、ご了承ください。
録画された動画は、公開されています。
▼仙台市議会インターネット議会中継-いのまた由美
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前編:県立特別支援学校の秋保地区への新設について、質問しました【議会】
中編:インクルーシブ教育・通常の学級でより丁寧な対応ができるよう、特別支援教育や不登校支援について、質問しました【議会】
後編:重度知的障害者の地域自立生活について、質問しました

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⑤インクルーシブ教育

○いのまた由美

 次の質問はインクルーシブ教育についてです。ご存知のとおり「インクルーシブ」「インクルージョン」とは包み込む、包摂という意味で、「インクルーシブな社会」というと、誰も排除されない社会、誰も一人にしない社会ということになります。

 「仙台市特別支援教育プラン2018」でもインクルーシブ教育システムの構築が掲げられており、多様な学びの場の充実として、通常の学級、特別支援学級、特別支援学校、通級指導教室などの選択を可能にするために、環境の充実や仕組みの整備を図るとしています。

 2012年の全国実態調査では、通常の学級において「知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒」の割合が全体の6.5%と出ています。仙台市の調査でも、2007年から2017年度の10年で、通常の学級に在籍する発達障害及び発達障害等の可能性のある児童生徒の数は2000人から4000人と2倍になっていると把握されています。通常学級にいる支援が必要な児童生徒の割合について、当局としてはどのように認識して、課題に対する取組みを進めておられるのか、お伺いいたします。

○教育長 答弁

 通常の学級に在籍し支援が必要な児童生徒についてでございます。

今年度、市立小中学校の通常の学級において、発達障害を含め配慮が必要な児童生徒の数は4215人、全体の約5.6パーセントで、増加傾向にございます。

教育委員会といたしましては、すべての教員が特別支援教育についての理解を深め、適切に対応できるよう体制を整えることが重要であると認識しております。

このため、「仙台市特別支援教育推進プラン2018」に基づき、教員の研修の充実、特別支援教育指導補助員の配置、仙台市発達障害児教育検討専門家チームや学校生活支援巡回相談員の派遣等、特別支援教育推進のための取組を進めているところでございます。

○いのまた由美

「通常の学級」では、まずは担任の教員が個別に工夫しつつ多様な児童生徒に配慮をして教育にご尽力されていらっしゃいます。学校組織として支援の必要性がある児童生徒だと判断するまでには至っていないも子も、当然いることと推測できます 。通常の学級の中で、特性や特徴のある子への丁寧な対応ができるように、社民党仙台市議団は、全学年の30人以下学級を図ること、当面小学校の全学年への35人以下学級の拡大を図ることを求めています。また、通常の学級で担任等の指導を補助する「特別支援教育指導補助員」の充実も必要だと考えられます。ご所見を伺います。

○教育長 答弁

 小学校への35人以下学級の拡充と特別支援教育指導補助員の充実についてでございます。

小学校への35人以下学級の拡充は、よりきめ細かく児童を見守る指導が可能となるものと考えておりますが、教員の増員のほか、教室を児童クラブで使用しているといった施設面での課題もございます。

特別支援教育指導補助員につきましては、通常の学級に在籍する配慮を要する児童生徒が増加しておりますことから、各学校や学級の状況を踏まえ、必要に応じてさらなる充実を図ってまいりたいと考えております。

○いのまた由美

 先日、「宮城県自死遺族支援連絡協議会」のシンポジウムを聴講してまいりました。「子どもの”いのち”を守る教育とは」という副題で、子どもたち一人ひとりの感性を伸ばしつつ、様々な違いを認めあえる学校教育の在り方を中心に話されていました。通常の学級の中において多様性の尊重を強化する「特別支援教育」を一層推進していくことは、いじめや自死をなくしていくために有効だと考えるものです。また不登校への対応の改善にもつながるものと考えます。ご所見を伺います。

○教育長 答弁

 特別支援教育の推進によるいじめ防止や不登校への対応の改善についてでございます。

 仙台市特別支援教育推進プラン2018に示されている、校内での組織的対応、児童生徒一人一人に応じた支援、互いに認め合える集団づくり、保護者や関係機関等との連携など、特別支援教育推進のための施策は、いじめの未然防止、不登校への対応とも方向性を同じくするものと考えております。

 今後も、本プランに基づき各種施策を進め、特別支援教育の一層の充実に努めてまいりたいと存じます。


⑥不登校児童生徒への支援について

○いのまた由美

「不登校児童生徒への支援の在り方について」という教育確保法に関する文科省の通知が今年10月25日に出されました。「 不登校児童生徒への支援は,『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく」「不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある」とされています。本市の不登校児童生徒数は増加傾向にあり、2018年度は1668名となっています。5年前の1.48倍です。不登校の要因を2018年にNHKが比較調査した結果によりますと、教員などが回答している文科省調査では「家庭」にあるとする回答が30.8%。「いじめ」は0.4%で、「教員との関係」「部活動」「決まりや校則」という要因は2~3%でした。一方で、子ども自身が回答しているNHK調査では、「教員との関係」が23%で一位、「いじめ」「部活動」「決まりや校則」「家庭」がともに21%でした。

ある不登校の保護者グループの方は、「不登校になる子は、特に心が優しい子が多く、先生にも気を遣う傾向があります。先生がたが忙しく、人手が足りな過ぎて、こども一人ひとりに配慮できない状況が問題だと考えます。こどもの声は聞けているでしょうか。子どもが学校に息苦しさを感じてしまっています」とおっしゃっています。
私も不登校の児童生徒と保護者を、「適応指導」して学校へ戻すという考え方だけでは、もう状況を改善できないと考えています。先ほどの調査結果の受け止めもあわせて、ご所見を伺います。

○市長 答弁

不登校児童生徒の支援についてでございます。

不登校の原因というのは一人ひとり様々でございます。また、不登校に至る本人の心の動きというのも複雑なものがあろうかと思います。支援にあたってはその状況を的確に把握し、学校と家庭が情報を共有するとともに、子どもたちの思いや考えをしっかりと受け止めることが大切であると、このように考えております。

そのためには、多様で適切な学習活動の機会を確保することにより、子どもたちの将来を見据えた社会的自立に向けて、実態や意向にそって丁寧に取り組みを進めていくことが重要であると、このように認識をいたします。

こうした視点に立った組織的、継続的な支援を行うことで、すべての子どもたちが、それぞれの特性や能力に応じてその可能性を伸ばし、自立していくことができるよう、教育委員会とともに施策を進めてまいりたいと存じます。

(適応指導教室・杜のひろばの拡充について)

○いのまた由美

不登校児童生徒の受け皿として考えられている「適応指導教室・杜のひろば」は定員オーバーの状態が続いています。不登校は中学生が多いため杜のひろばでも中学生が多く、通うことを諦めている小学生が多いと聞きました。そして小学生は保護者と離れられない子もいるので、不登校になった児童と保護者は毎日の居場所を切望しております。「学校復帰」という結果のみを目標にするのではない形で居場所とできるように、「杜のひろば」拡充や充実が必要と考えられますが、ご所見を伺います。

○教育長 答弁

適応指導教室の拡充についてでございます。
登校が難しい児童生徒の居場所として、適応指導教室は大変重要な役割を担っております。この教室に通う児童生徒は年々増加する傾向にあり、その拡充を検討する必要があるものと認識しております。
併せて、学校内に適応指導の機能を持つ「別室」を設けることや、フリースクール等の民間施設との連携をさらに進めるなど、不登校児童生徒の社会的自立に向けた選択肢を広げる取り組みを進めてまいりたいと存じます。

(文部科学省の通知の受け止め等について)

○いのまた由美

また、「杜のひろば」以外にも多様な居場所や学びの場は必要だと考えます。どこにも居場所がなく、苦しみ、自分たちで居場所作りをしている当事者グループもあります。仙台市不登校支援ネットワークなどでも取組まれていると思いますが、不登校支援団体や当事者グループと仙台市との話し合いの場を充実させて、ともに検討することも必要と考えます。文科省通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」の仙台市の受け止めと、今後どのように支援していくのか取組みを伺います。

○教育長 答弁

不登校児童生徒への支援の取組についてでございます。

国からも示されておりますとおり,不登校対策につきましては,不登校の児童生徒が主体的に社会的自立などに向かえるよう,適切なかかわりや必要な働きかけを行うとともに,児童生徒が安心して過ごすことのできる学校づくり,居場所づくりを進めることが重要であると認識しております。

本市は,学校における取組のほか,市民団体や民間企業等とともに「不登校支援ネットワーク」を組織し,不登校児童生徒やその保護者を支援する取組を進めているところでございます。

今後も,学校内外における子どもたちの居場所づくりや,不登校相談員の拡充などについて検討を進めるとともに,有識者からの継続的な助言をいただきながら,不登校対策の一層の充実に努めてまいりたいと存じます。

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今回も、質問をつくるにあたり、市民の皆さま、行政の担当者さま、先輩議員などの方々からご意見やご助言をたまわりましたことに感謝申し上げます。今後とも精進してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。