【仙台】生活保護の扶養照会、一時保護について質問しました

全国的に拡大された新型コロナは、いのちや暮らしに深刻な打撃を与えています。生き延びていくために、公助のセーフティーネットが機能されなければならないという思いで、生活困窮者への支援に関する質問を市議会で続けています。2021年1月21日の健康福祉委員会(常任委員会)での質疑の一部を、ここに掲載します。

はじめに(記憶だよりの不正確な質問答弁メモです)

議会の本会議の質問(第一問)は、与えられた時間内にぴったり収まりきるように原稿を作って、本番で読んでいますが、「常任委員会」や「調査特別委員会」では質問時間も質問回数にも制限がないので、細かくタイムリーな質疑をしています。

私の場合、委員会の前にも質問する予定の内容のおおまかなメモを準備していますが、いざ本番になると、当局の答弁に応じてさらに質問を続けることになるので、質疑の正確な文言は、会議録が公開される2-3ヶ月後にならないと確かめることが難しいです。本会議や予算/決算審査特別委員会でしたら、録画中継がなされているので、3営業日後に公開される録画を観て文字起こしすることはできますが、常任委員会は録画中継がないのでそうもいかないです。私はメモ魔のほうですが、自分で真剣に質疑しているときに、自分の質問に対する答弁をメモすることは、ほとんどできません。

よって、ここに掲載している質問答弁のメモの文言は、不正確な部分が多いです。

それでも、多くの方に知っていただきたいタイムリーな内容ですので、掲載させていただきます。不正確であることをご了解の上、お読みいただけたら幸いです。

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質問:権利としての生活保護制度の周知

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
全国的に新型コロナ感染が拡大しました。私からは、コロナ感染拡大による経済苦によって生活困窮にある方への制度、おもに生活保護について質問します。元より不安定な雇用にある方々などが、「食べるものがない」「住むところを失う」、など打撃を受けていると聞き及びます。困窮している方には生活保護を活用していただきたいですが、所持金がわずかになっている方でも、まさか自分が生活保護を利用する対象者であると思わない人が多いと、支援者から口々に聞かれます。厚労省は昨年12月よりホームページ上で、生活保護の特設ページを新設して積極的な広報に乗り出しました。「生活保護の申請は国民の権利です」とインターネットに広告も出しています。本市においても、コロナ禍のいま、より積極的な広報が必要と考えますが、いかがでしょうか。伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局地域福祉部 保護自立支援課)
本市ホームページの、「新型コロナウイルス感染症特設ページ」>「経済支援情報」>「個人向け」>生活資金にお困りの方へと経済支援のページから、生活困窮者自立支援事業・生活保護のページをご案内しているところです。生活に困窮している方が申請をためらうことのないよう、厚労省の特設ページにもリンクを貼るなど更なる周知に努めます。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
本市のホームページでもリンクを貼っていただけるということで、よろしくお願いします。死ぬか生きるかという方の目に留まるようにしていただきたいです。年末年始に仙台市市民局が、コロナ禍における若年女性の支援ということで緊急でチラシを作成して貼り出してくださいました。自死予防、DV相談などのSNS相談窓口をお知らせするものでしたが、そこには生活困窮者の相談窓口は直接には示されていませんでした。それぞれの窓口と連携する中で必要な方にはお伝えしていただいているのかなとは思っています。

新型コロナウイルス感染症の影響で生活にお困りの皆さまへ(生活困窮者自立支援事業・生活保護)
相談支援や生活保護などの生活支援のご案内

参考として:いのまたの過去の質問(2020年12月)

2020年4月から11月までの生活保護の相談件数、申請件数

【仙台】ひとり親家庭の現状と生活困窮者支援【議会】
2020年12月11日の一般質問です(その9) 仙台市議会2020年の第4回定例会の、いのまた由美の一般質問の、その9のメモを掲載します。(※ その6~8は、まだアップしていません) 質問項目1. 仙台市戦災復興記念館と平和の大切さを語り継...

本年4月から11月までの生活保護の相談件数は4544件、本市の生活自立・仕事相談センター「わんすてっぷ」における相談件数は3484件と、前年同時期に比べ、(メモで不明瞭)は1019件、わんすてっぷは1438件の増加となっております。一方、生活保護の申請件数は1299件と、前年同時期と比べ、151件の減少となっております。

(相談件数は増えているのに、保護申請件数は減っているのはどういうことか?)

これは、新型コロナウイルスの感染拡大により、各区生活保護担当課への住居確保給付金の申請や、社会福祉協議会による貸付の要件である「わんすてっぷ」への相談のための来所が増加したことが一因と考えられ、それら他制度の利用などにより、生活保護の申請に至っていないものと認識しているところでございます。

年末年始の困窮者への仙台市の対応(2020年~2021年)

年末年始に居所がないなど困窮している方への仙台市の対応(2020年~2021年)【議会】
2020年12月11日の一般質問です(その2) 仙台市議会2020年の第4回定例会の、いのまた由美の一般質問の、その2のメモを掲載します。 質問項目 1. 仙台市戦災復興記念館と平和の大切さを語り継ぐ取組2. コロナ禍を生き延びていくために...

質問:扶養照会

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
次に生活保護申請の「扶養照会」について伺います。例えば、家族から虐待を受けて逃げていて生活が困窮している方に支援者が生活保護の利用をすすめても、「扶養照会」があるからと、生活保護相談を拒否する方が多いと聞きます。年末年始に首都圏で活動している生活困窮者支援団体がおこなった緊急アンケートの回答でも、生活保護は家族に知られるから嫌だという忌避感が強いということです。
生活保護申請から決定までの流れと、「扶養照会」とはどのようなことをされているのか、伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局 地域福祉部 保護自立支援課)
・申請から決定の流れとしましては、生活保護の申請があった場合、原則として申請から1週間以内に地区担当者が申請者の居所を訪問し、生活状況の確認や資産状況の聞き取りなどを行います。並行して、金融機関や生命保険などの資産調査、扶養義務者への扶養照会を実施し、原則として申請から14日以内に保護の決定の判断を行うことになります。

・扶養照会とは、生活保護制度には補足性の原則があり、稼働能力や扶養義務者からの扶養、他法他施策の活用が保護に優先されることとなっていることから、扶養義務者に対し、援助の可否を調査するものでございます。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
扶養照会をしない場合があるという厚労省の通知はどのような内容ですか。本市でもそういう対応をしているのか確認をします。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局 地域福祉部 保護自立支援課)
厚生省社会局保護課長通知等において、扶養照会をしない場合としては、個別の慎重な検討を行い、扶養義務の履行が期待できない者の場合となっております。具体的には、未成年者、おおむね70歳上の高齢者、20年以上音信不通である場合、夫のDVで逃れてきた母子の夫などは、原則として扶養義務の履行が期待できない者として、調査を行わない対象としております。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
本市が「扶養照会」をした件数を数字でお示しいただけますか。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局 地域福祉部 保護自立支援課)
統計は取っておらず、把握しておりません。

※もちろん、お一人おひとりの対応記録には扶養照会について記載されているのですが、件数の統計をとっていないということです。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
扶養紹介の結果、なんらかの援助ができるという回答は、どの程度ありますか。ちなみに、2019年に足立区で生活保護新規件数は2275件、そのうち扶養照会によって扶養繋がった件数はわずか7件(0.3%)とのことです。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局 地域福祉部 保護自立支援課)
統計は取っておりませんが、金銭的援助はできなくとも電話連絡や随時の訪問といった、いわゆる精神的な援助ならできるという回答が少なからずあるものと認識しております。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
精神的な援助に繋がったことで良かった面もあるかもしれませんが、一方ではこのような声もあります。要保護状態にあるが、保護を受けることに忌避感がある。その理由として、過去に保護申請をした際に、親族に扶養の連絡がいき、保護受給をしなかったが、親族は1度顔を見せて1万円をくれて、その後は援助がなし。親族との関係も悪化。「精神的な援助」というもので、助かる場合もあるかもしれませんが、その逆もあるということを、認識しておきたいです。

その他にも、いわゆる水際作戦、生活保護申請件数を少なくしよう、申請を諦めさせようという働きかけは行っていないか、確認しておきます。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局 地域福祉部 保護自立支援課)
厚労省から申請権を侵害するような行為は行わないよう注意喚起されております。また、当課で実施している各区保護担当課への監査においても、そのような対応がないかどうかを確認しております。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
生活困窮者が複雑な家族関係を抱えていることが多々あるということに対する認識はいかがでしょうか。仙台で困窮者の支援をしている方からも、コロナをきっかけに貧困に陥っている若い方の状況を聞くと、安心して頼れる家庭環境ではないケースがほとんどだということです。
家族や親族に扶養照会をされたくない、そこまでして生活保護を受けるなら死んだほうがましだと追い込んでしまわないよう、困窮者の家族事情についての配慮を、くれぐれも求めますが、所見を伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局 地域福祉部 保護自立支援課)
困窮者、保護受給者の方が複雑な家族事情を抱えていることが多いということは認識しているところであり、補足性の原則は踏まえつつ、扶養照会は個々の事情に応じて、実施するものでございます。引き続き、配慮を怠らないよう努めてまいります。

生活保護の利用を妨げている要因は何か?~年末年始アンケート調査結果の概要 | つくろい東京ファンド
コロナ禍における生活困窮者支援活動では、生活に困窮している人に支援者が生活保護制度の利用を勧めても、忌避感を示される方が多いことが課題になっています。 つくろい東京ファンドでは、生活保護制度の利用を妨げている要因を探り、制度を利用しやす

質問:相部屋の無料定額宿泊所など

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
支援団体のアンケートによると、生活保護を忌避する原因は「家族」への連絡のほかに、「相部屋」という回答も多いです。首都圏では生活保護申請の際に役所から相部屋の無料定額宿泊所の入居を勧められるというケースがあると聞きます。貧困ビジネスの温床になっていると考えられます。本市では、生活保護を受けるならば相部屋の施設に行くことが条件という促しはなされていないか、確認しておきます。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局 地域福祉部 保護自立支援課)
生活保護制度においては、居所がなくても申請は可能となっております。なお、居所のない方からの相談を受ける中で、無料低額宿泊所をご案内することはございますが、本市の無料低額宿泊所は、全て個室となっております。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
私もそのように認識をしていたところですが、団体が運営している無料定額宿泊所などではなく、個人が仕事や部屋を紹介するなどということで保護申請に同行して貧困ビジネスに繋がる場合がないかどうか、気をつけて今後も調査をしていかければならないと考えています。

質問:住まいの確保・一時保護・シェルター

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
地元紙の年末の記事で、コロナ拡大で生活困窮者が増えていて心配だという趣旨の記事が掲載されました。それによると「ワンファミリー仙台」では88人をシェルターなどで受け入れた。施設に空きがなく56人は断らざるを得なかったと答えています。年が明けて私も聞き取りをしましたが、今後も居所を失う人が増えていくだろうとおっしゃっています。本市でも昨年の補正予算で「住まいの確保緊急支援事業」10部屋を確保して居所が無い方への一時保護をしているところですが、これまで満室で断っている状況はあったのでしょうか、伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局 地域福祉部 保護自立支援課)
居所のない方の一時保護につきましては、本市の清流ホームでの受入れのほか、ワンファミリー仙台などの自主事業として進められてきておりました。本市は、7月から「住まいの確保緊急支援事業」として10室を確保し、ワンファミリー仙台に委託して運営してまいったところでございます。委員が仰った数字は、ワンファミリー仙台が報道機関への取材に回答したもので、令和2年4月1日から12月11日までのものであり、本市の事業が開始される前のものも含んでおります。

本市が住まいの確保緊急支援事業を開始した令和2年7月から12月11日までにお断りした人数は、7月1人、8月9人、9月12人、10月18人、11月4人、12月2人の合計46人であり、これらの方につきましては、ワンファミリー仙台を含む各NPO団体の自主事業での受入れや、無料低額宿泊所への案内などにより、対応してまいったところでございます。

いのまた由美
いのまた由美

(いのまた由美)
新型コロナの第三波、感染がひろがっています。緊急事態宣言が発出された都府県もあります。経済困窮もまた増えてしまう恐れが多いにあります。「住まいの確保緊急支援事業」一時保護の居室を増やすことを検討すべきと考えますが、所見を伺います。

仙台市当局
仙台市当局

(仙台市 健康福祉局 地域福祉部 保護自立支援課)
住まいの確保緊急支援事業の居室数の拡充につきましては、ご指摘の点も踏まえ、検討してまいります。