初めての一般質問(児童虐待防止と孤独な子育てを解消する取り組み)【議会】

2019年9月30日の、仙台市議会で当選後初の一般質問をいたしました。会議録が仙台市議会ホームページに掲載されております。そこから、質問と答弁の関係をわかりやすく配置しなおして、ここに掲載いたします。

正式な会議録は、こちらです。
令和元年第3回定例会(第4日目) 本文   #33がいのまた由美の質問です。


いのまた由美 仙台市議会 一般質問

◯五番(いのまた由美)

 社民党仙台市議団のいのまた由美です。このたびの選挙で初当選をいたしました。議長のお許しをいただきましたので、四年越しの思いを込めて一般質問いたします。
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いのまた由美 第3回定例会 本会議 一般質問

児童虐待防止と孤独な子育てを解消する取り組み

 最初に、児童虐待の防止と孤独な子育てを解消する取り組みについて質問いたします。

 現代の日本で少子化対策は喫緊の課題ですが、子育てに専念している乳幼児の母親は、孤立感や重圧、育児不安で苦しむことも多いです。2016年1月、NHKスペシャル「ママたちが非常事態!?」という番組が話題になりました。番組では、なぜ産後の母親がこんなに孤独や不安を抱えているのかということについて、一つの考えを示していました。その番組によると、人類には進化の過程でみんなで協力して子育てする共同養育という独自の子育てスタイルが確立したということです。それなのに、現代では核家族化が進み、少子化も進み、地域のつながりも薄れ、長時間労働もあり、それぞれが孤独に子育てをしています。だから、子育てを一手に引き受けていることの多い母親が苦しくなるという考え方が示されていました。
 私は、みんなで協力して子育てをする人間らしい地域を社会制度的に再構築しなければならないと考え、地域で子育て支援の市民活動をしてまいりましたし、議会でも提案していきたいと考えています。
 児童虐待の死亡事案が、ことしに入って仙台市内で三件ありました。亡くなったお子様に心からお悔やみを申し上げます。二度と発生させないように、子供の命を守る社会をつくっていきましょう。
 テレビでも、全国各地の痛ましい児童虐待事件が報じられています。児童虐待とDVの一体化した支援や、児童相談所の機能強化が求められています。
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児童虐待死亡事案の検証について

 一方で、死亡事案が発覚するまで、児童虐待という状態が見えてこない例もあります。養育不安としては把握されている場合や、どのような支援にもつながっていない場合など、多様なケースがあります。

 仙台市内の児童虐待の乳幼児死亡案件のうち、ことし六月末の青葉区の台原の事案では、二歳児が亡くなりました。報道によると、保護責任者致死容疑で逮捕された母親は、アパートの部屋に二歳児を放置して、死に至らしめてしまったと言われています。仙台市として、この事案の検証はどうなっているのでしょうか、伺います。

○子供未来局長 答弁
http://www.city.sendai.miyagi.dbsr.jp/index.php/4123083?Template=view&VoiceType=select&DocumentID=3006#34
 私からは、子供未来局に係る質問のうち、市長がお答えした以外の質問にお答えをいたします。
 初めに、死亡事例の検証についてでございます。
 児童虐待死亡事案が発生した場合は、児童虐待防止法に基づき、事例分析や防止に向けた検証を行うこととされております。本市では、仙台市社会福祉審議会児童福祉専門分科会措置・里親審査部会にて検証を行うこととしており、このたびの幼児死亡事案につきましても、今後の裁判の推移等を踏まえながら、検証を進めてまいります。
 また、この法に定める検証とは別に、現在、保健師など庁内職員による事案の振り返りを行っており、具体的な支援のあり方と再発防止に向けた取り組みを検討しているところでございます。

令和元年第3回定例会(第4日目) #34

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ひとり親の子育て支援体制

 この台原の事案は、母一人子一人のひとり親家庭で発生いたしました。子供が健やかに育つために、ひとり親がさまざまな困難を乗り越え自立して生活できるよう、社会全体で支えていくことが求められています。仙台市にもいろいろな支援制度や相談窓口があり、それらをひとり親サポートブック、うぇるびぃという冊子で情報提供しています。
 子育て期の中でも、特に乳幼児期は、支援が必要な方ほど外出するのも困難な状況があると思われます。訪問型の支援など、乳幼児の育児中のひとり親に対する継続的な見守りや支援体制は仙台市にはあるのでしょうか、伺います。

仙台市 ひとり親サポートブック「うぇるびぃ」

○子供未来局長 答弁
http://www.city.sendai.miyagi.dbsr.jp/index.php/4123083?Template=view&VoiceType=select&DocumentID=3006#34
 ひとり親家庭においては、さまざまな事情により就業や家事に困難が伴い、乳幼児の子育てに支障を来す場合があるものと認識しております。
 このため、本市では、ひとり親家庭相談支援センターにおいて就業相談や講習会を実施しているほか、家庭生活支援員が各家庭を訪問し家事や育児の手助けを行う訪問型の事業を行っております。また、継続的な支援を必要とする家庭につきましては、保健師が各家庭を訪問する中で母子の健康や育児に関する相談支援に取り組んでおり、各家庭の状況を丁寧にお聞きしながら、必要な支援に努めております。

令和元年第3回定例会(第4日目) #34

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未就学児健診の未受診者への対応

 仙台市の産後の子育て支援事業で全員が対象になっているのは、新生児全戸訪問、乳幼児健康診査として生後二カ月、四、五カ月、八、九カ月の健診があります。その後は一歳半、二歳半、三歳児の健診があります。今回の台原の事案では、四、五カ月健診は受診したものの、その後の健診は未受診でした。
 平成三十年度の乳幼児健康診査の未受診者は、対象者全体の三から八%程度でした。一歳半健診では、対象者八千五百四十八人のうち、受診しなかったのは一・七%の百四十四人でした。養育環境の面で継続支援を要すると判断されたのは、九百九十三人ということです。
 これらの健診は親子と接触できる重要な機会であり、児童虐待や要支援者の早期発見、早期支援につながります。一般的に仙台市の乳児健康診査、幼児健康診査の未受診者への対応はどのようになっているのでしょうか、伺います。

 今回の台原の事案では、妊娠して母子健康手帳を区役所へ受け取りに来る時期が、一般の方よりも大分おくれていたということです。思いがけない妊娠の場合や、妊娠や出産への迷いや葛藤がある場合に、母子健康手帳の受け取りがおくれたり、飛び込み出産になることがあります。そのように、出産後の養育について出産前から支援を行うことが必要と認められる妊婦の方に対して、仙台市では、どのように把握し、どのような支援をしているでしょうか。出産後も見守りや支援が継続されているのでしょうか、伺います。

 仙台市では、保健師などが産後の新生児全戸訪問を担っています。仙台市の妊娠期から出産、子育て期の切れ目のない支援の中で、保健師は重要な役割を担っており、新生児全戸訪問や地域担当、健康診断、アフターフォローなど、子育て支援の多分野にかかわっています。児童虐待防止のために児童相談所の体制強化が必要なのと同様に、母子支援を担当する保健師等は直接一人一人の母親と接点を持つことができ、虐待以前の養育不安などに対応することができるので、母子支援体制の充実が必要だと考えます。母子支援の現状の体制は十分でしょうか、伺います。

◯市長(郡和子) 答弁

 母子の支援体制につきましては、切れ目のない支援の実現に向けた産婦健診、また、産後ケア事業などの新たな実施にあわせまして、各区保健福祉センター及び総合支所の母子保健担当の保健師を増員いたしまして、支援体制の強化を図ったところでございます。

令和元年第3回定例会(第4日目) #33

○子供未来局長 答弁
http://www.city.sendai.miyagi.dbsr.jp/index.php/4123083?Template=view&VoiceType=select&DocumentID=3006#34
 本市における平成三十年度の幼児健診の未受診の割合は、一歳六カ月児健診で一・七%、二歳六カ月児歯科健診で四%、三歳児健診で四・三%となっておりますが、未受診者に対しましては、電話や文書による受診勧奨を行い、連絡がとれない場合や、家庭、とりわけ児童の状況が把握できない場合に、家庭訪問により状況を確認することとしております。
 また、母子健康手帳交付は行政が妊婦とかかわる最初の機会と捉え、保健師など専門職が面接し、妊婦の心身の健康状態や生活面、支援者の状況等の確認を行っております。支援が必要と判断した場合には、保健師による妊婦健診への動向や出産前後の医療機関での面会、退院後の家庭訪問等を通じて、状況把握と継続的支援に努めているところでございます。

令和元年第3回定例会(第4日目) #34

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・産後の母親のメンタルケア・専門家と非専門家の両輪の支援・子育てしやすいまちづくりなど

 母親のメンタルケアの重要性を申し上げます。妊娠期から産後一年までの母親の死亡原因のトップは自死です。ホルモンバランスや生活環境の変化によって、十人に一人は産後鬱になる可能性があります。仙台市では、妊娠期から出産、子育て期の切れ目のない支援の一つとして、生後四カ月までの母子が日帰りや宿泊を受けられる産後ケア事業が始まりました。
 生後四カ月を過ぎた後も、孤独な子育てをしている母子のストレス過多な状況は続きます。台原の事案の容疑者は、子供を放置した理由を、育児に疲れた、一人になりたかったと語ったと報道されています。それで子供の命を奪ったことは決して許されることではありませんが、乳幼児を抱え込み、育児に疲れて、一人になりたいと考える母親はたくさんいます。子供の命を守るために、誰かに頼れる環境を、助けを求められる環境をつくっていかなければならないと考えます。仙台市には、育児疲れの親子をサポートする取り組みにはどのようなものがあるでしょうか、伺います。

 加えて、乳幼児の子育て中で困難な状況にあるのにもかかわらず、SOSを発することができない家庭や引きこもっている親子をどのように支援できるのか、方法を考えなければなりません。
 家庭訪問型子育て支援事業、ホームスタートというプログラムがあります。研修を受けたボランティアが、妊婦や未就学児のいる家庭を週に一回訪問し、一緒に話をしながら家事や育児をして過ごす、新しい家庭訪問型の子育て支援です。仙台では、一般社団法人マザー・ウイングが震災後にこの取り組みを始め、平成三十年度は三十二家庭の利用があり、二百二十五回の訪問が実施されています。
 利用する母親の声として、例えば、利用開始時には、だめな母親だと思われる気がするので弱音は吐けない、多胎児や年子や転勤、初めての子育てで孤立して混乱しているという声があったそうです。そこにホームスタートでボランティアが訪問し、そういった気持に寄り添ってゆっくり話を聞くことで、心が穏やかになり、安心して育児ができる気持ちを持てるような変化があったと伺いました。
 気持ちを受けとめながら話を聞く傾聴や、育児、家事や外出を一緒にする協働などで親子を支えます。近隣では名取市でも、すくすくサポートなどの制度と並行して実施をされています。育児不安を抱える家庭に実際に求められており、ニーズは高く、効果があります。虐待防止や産前産後のサポート強化、妊娠期から出産、子育て期の切れ目のない支援の充実の一つの方法として、ホームスタートによる家庭訪問事業などを広め、仙台でも社会全体で子育てしやすいまちづくりを推進していくべきと考えますが、御所見を伺います。

◯市長(郡和子) 答弁

 子育てしやすいまちづくりなどのお尋ねでございます。
 子育てしやすいまちの実現に向けましては、子供の健やかな成長を支える取り組みや、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援の推進とあわせ、地域における子育ての支援機能の充実、また、社会全体で子育て家庭を応援していく、このことが肝要だと思います。
 
(略・母子支援体制)

 また、育児疲れをサポートする取り組みとして、各区保健福祉センター等では、育児不安やストレスを抱える母親を対象に、保健師などによる虐待予防教室や育児相談会、これを実施いたしまして、子育ての孤立化の解消に向けた取り組みを進めているところでございます。
 御紹介のございました家庭訪問型子育て支援など、本市におきましては、それぞれの地域でさまざまな団体が子育て支援や子育てサークルの活動などに取り組んでおりまして、携わっておられる市民の皆様の地域での子育てに対する思いを大変力強く感じているところでございます。
 育児に不安を感じ孤立する家庭をなくしていくためには、子育て家庭を支援する各区保健福祉センター等の機能強化を図るとともに、幅広い団体や市民の皆様が一体となって支援を行っていくことが必要であると考えておりまして、今後も子育て支援活動を実践する多くの団体の皆様方とも連携しながら、地域全体で子育て家庭を応援していく機運の醸成を図ってまいりたいと存じます。

令和元年第3回定例会(第4日目) #33

一般質問の前半は以上です。
後半は、住み慣れた地域で暮らし続けるための地域交通についての質問です。


地域全体で子育て家庭を応援していく 仙台へ

ご答弁をいただき、私ももっともっとがんばらなくてはいけないと思いました。

最後に、太白区の乳幼児子育て支援について一緒に活動し、熱く意見交換をし続けてきた、「太白区育児サークル応援隊たい子さん」の皆さんとの写真と、
「仙台市子育てふれあいプラザ・のびすく泉中央」「一般社団法人マザー・ウィング」で 「ホームスタート」について取材させていただいた 時の写真を掲載いたします。いつもありがとうございます。

太白区民まつりにて まちづくり活動ブース 太白区育児サークル応援隊たい子さん 「2歳児サバイバルライフ」共著者の皆さんと
のびすく泉中央 一般社団法人マザー・ウィング 小川ゆみさんからお話を伺いました